第2話 勇者と魔王 その2

「魔王よ、私は勇者ユウ! 古き言い伝えにより貴様を退治しにきた!」


 ユウは扉を開けると声高らかに自分の名を名乗った。目の前の玉座に座っているのは紛れもなく魔王。小さい頃、父によく読んでもらっていた昔話に出てきた人間の敵……のはずだったのに。


「ふっふっふ、よくぞここまでたどり着いた勇者…………よ。魔神の加護を受けし我に挑もうとは愚かなり!」


 片手で顔を覆った魔王が、ゆっくりとその手を離して立ち上がる。

 黒髪のショートカット。頭からツノが二本。ちょっとグラマラスな体型。少しつり目のきつね顔。


(えっ、魔王って女の子だったの? しかも超美人だし!)

 想像してた魔王とは真逆の姿に、思わずユウは鼻血を吹いた。

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