第15話

玄関のドアを開けて笹木が遠慮がちに入りながら、


「お邪魔します...」


ぼそっとつぶやいて靴を脱いでる傍でスリッパを並べた。


「真っ直ぐ行ったらリビングだから。」


慌てて右に曲がって洗面所へ。

瞼の腫れをチェック!

...今朝よりはまともだ。

出かける前に冷やしといて良かった。

前髪を手直しして、深呼吸してリビングへ向かう。

ドアノブに手をかけてもう一回深呼吸。


ガチャ


「ごめん!暑いね。エアコンつけるね。」

「お腹空いたね、ご飯食べよっか!」


恥ずかしくて一気におしゃべりになっちゃった

笹木の顔が見れない。


「宮本の、これ。」

「あ、うん…」


隣に座って蕎麦を食べる。

ドキドキして味なんかわかんない。

胸がぎゅううってしめつけられて、右隣の笹木の体温がやけに熱い気がする。


烏龍茶を3分の1一気に飲んで、小さく溜め息を吐いた。


「あのさ。」


気が緩んだ瞬間に笹木に呼ばれたから思わず肩を揺らして驚いた。


「あ、ごめん。そんなに驚くとは。」

「ううん、何?」

「家族の人は?なんかがらんとしてるってゆーか、寂しい感じがすんだけど。」


相変わらず鋭いなぁ。

食べ終わった容器を片してソファーに座る。


「海沙さんもう少しで出産だからお父さんと一緒に里帰りしたの。予定日は今日らしいんだけど音沙汰なし。」

「じゃあ宮本に兄弟できるんだ。」

「そうなの!スッゴい楽しみ!」

「...ようやく笑った。今日ずっと宮本の顔見れなくて寂しかった。」

「あっ...」


ふわっと微笑んだ笹木の目元が優しくて

また胸がぎゅううってなった。


「あの、海ではごめん。おれびっくりして固まってた。ほんとは沈む夕日をバックに宮本に気持ち伝えるつもりだったのに、なんか殴り書きみたいな告白になって。」


涼しい部屋で耳まで真っ赤にした笹木は、頭から湯気が出そうだ。


「...あのノート宝物にしよっかな。笹木の告白だし。」

「それはやめてくれー!」

「ふふっ!ねぇ、笹木」


すううっと息を吸って真っ直ぐ笹木を見つめる。


「あたしも好き、笹木が好き…」


...言えた、言っちゃったぁ。

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宮本と笹木(仮) 紫水蜜未 @momomono

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