第9話

「あたし飲み物買ってくる!」

「じゃあ、あたしも行こうかな。桃と奈菜は何がいい?」

「烏龍茶。」

「桃と同じで。」

「さやか行こっ。」


望結とさやかって案外いいコンビかも、なんて思いながら2人のセクシーな後ろ姿を見てたら。


「佐伯ってスタイルいいんだね、しらなかった。」

「宮本こっち来て休めよ。熱中症なるぞ。」


バスケ部の元エース。

豊沢と若本に声をかけられた。


「ほら、佐伯。冷たいタオル。」

「あ、ありがとう。若本くん。」

「佐伯がこういうとこに来るなんて意外。体調は?具合悪くない?」

「うん、平気。ありがとう。」


...おやー?これはもしかしてもしかするかも?

にやにやしながら奈菜の顔を観察する。

耳まで真っ赤だぞ?若本ってば奈菜ガン見してるけど、本人まったく気づいてないわ。

眼鏡外してるもんね。

そういえば笹木どこだろ。

渋沢とどっか消えてまだ戻ってこないな。


「お待たせー!売店混んでた。」

「若本~?なに奈菜口説いてんの?」

「望結!お話ししてるだけだよ!」

「せっかくだから話してただけだよ。」


おお、セリフがかぶった!

なんて心の中で喜んでたら、さやかからペットボトルを渡される。


「はい、どうぞ。」

「ありがとー!...?なに?」

「あ、ごめん。桃って肌綺麗だから見とれちゃった。」

「いやいやいや!なに言ってんの?さやかの方こそ綺麗だから。」


同性から言われると照れる。

恥ずかしさを紛らわす為に烏龍茶を一気飲みしたら、見事にむせた。


「ちょっ!桃大丈夫?」

「だ、だいじょぶ…。ごほっ。」


何かに気付いたさやかが右側に視線をむけたら笹木が心配そうにこっちを見ていた。

なんとなく湧き上がった疑問をついくちにしてしまった。


「…さやかって笹木のことすきなの?」

「えっ?なんでそう思うの?ありえないからー!」

「そうなの?」

「そうだよ!小さい頃からずっと一緒だもん、なんとも思ってないよ。」


顔を背けたさやかの耳が微かに赤いのは、

夏の日差しのせいなのかな。

それとも図星なのかな…?

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