第4話 サバイバルの基本は採集から
ゴミ山には鼠や蝙蝠、鳥など思っていたよりいろんな生き物がいた。
残念なのは、生きた動物を捕まえるほどの運動能力がないことだ。
そこで俺は周辺に咲いている花や雑草を摘んだり、鳥の巣で見つけた卵を集めることにした。バッテリーを交換したことで胸部パーツが開くようになっており、そこに採集した
すると体内で分解されてガスが発生しタービンを回転させて充電される。
充電量は微々たるものだが、当面はこれでやりくりするしかない。
次はこの体をどういう方向に改造していくかが問題だ。
最初は手当たり次第いろんなパーツを装備してみたが、俺に搭載されている汎用型演算装置だと容量に限界があることがわかった。
小動物を捕まえるために試したのだが、この体にはサブマシンガンを搭載した腕やジェットがついた脚のように複雑な機構をもったパーツはつけられない。
つけると《演算能力を超過したため一部の機能を停止します》と言われて動作しない。おのれプログラムめ、俺の行動を阻んでばかりで嫌な奴だ。
なら演算装置を交換すればいいだけだ、と思うかもしれないがそんなに単純な話でもない。このパーツはいわば俺の脳みそに相当する部分だからだ。
それはつまり、俺の記憶や人格が入っている部分かもしれないということなのである。
どうもこの体には記憶領域、普通のパソコンでいうところのメモリが存在しない。ならメモリが存在しないのか、というと恐らくそんなことはない。
ステータスのスペックページを見ると、これまで交換した装備の実績や起動したスキルの履歴が残されていた。
だからメモリに相当する部分は確かに存在する。それは断言できる。
ただし、それがどこなのかわからない。可能性として高いのはやっぱり頭部に搭載されている演算装置。ここが計算と記録の両方を担っているという考えだ。ただ演算装置と同じくらい怪しい部分がある。
それは核だ。
俺の体内にはホワイト・コアと呼ばれる核が存在するらしいことはステータスを見ればわかる。しかし、これがいったいなんのために存在しているのかがわからない。
名前の印象的にはバッテリーに近いパーツのような気もするんだが、いわずもがなバッテリーは別で存在している。
まさかまったく無意味な物を搭載してるわけもないだろうし、この機体が汎用型である以上、最低限必要なパーツであることは間違いない。
ちなみに電力消費が一番大きいのもこの核だ。だからきっと、なにか大きな役割を担っていることは間違いない。
その役割ってのが、俺の魂の器……だったりして。
なんにせよこのまま悩んでいても埒が明かない。悩んで時間とバッテリーを消耗するくらいならさっさと行動したほうがいい。
なぁに、仮に演算装置が本体でも体が入れ替わるだけさ。
……いちおう、入れ替え先はちゃんと動くようにしておこう。動けない体になっちゃったら本気で詰むからな。
むしった雑草を食いつつ、俺は原型を留めているゴーレムを探した。
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