(4) 第一章 二、予期せぬ好機(一)


二、予期せぬ好機



 次の日からは、意識を失うような事は無かった。朝に目覚める時間はまちまちだが、起こしても目覚めないという事が無い。これは、看病している側にとっては胸をなでおろす事だったのだろう。数日の間、シロエは起こしてくれた後は必ず涙声になっていた。



 オレの声も格段に出やすくなっていった。お陰で会話が苦痛ではなくなり、この星の事やこの街の事、世の情勢などを簡単にだが聞く事が出来た。


 やはり、ここは地球ではなく、別の星である事は間違いなさそうだ。といっても、「この星の名前は何というのか」などとは聞けないため、場所はどの辺かと聞くので精一杯だった。



 ここは、シャルエルド王国のミトアニア地方にある街、ファミノーらしい。大陸にいくつか国があり、シャルエルドはその中でも大きい国だそうだ。

 海にも面しているお陰で貿易もそれなりに出来ているのだとか。貿易の相手は主に、大陸の反対側にあるグランシル王国らしい。陸路だと山脈を二つは越えていくしかないため、海路で繋がる方が早いしまだ安全という事のようだ。



 グランシル王国とは距離が離れすぎている事と、お互いに国力があるお陰で一番の友好国らしい。他に友好的な国には島国があるが、かなり遠いためにそこまで繋がりは無いという事だった。

 陸続きに隣接している国は四つあり、昔はどことも戦争があったが、今は停戦協定や和平が結ばれているという事だった。戦争の理由はいずれも、このシャルエルド王国の豊かさが妬ましいからだそうだ。どの世界にも、戦争はあるようだ。



 この街、ファミノーの治安は、王都に比べれば劣るが、地方に比べれば良い。という事らしい。王都では、暗くなっても大きな通りであれば女の一人歩きが可能だが、地方では夕方以降の外出はしない方が良い、という事だった。


(どちらにしても、日本に居るような感覚では危ない)



 王政で貴族社会があり、平民との身分ははっきりと分かれている。治安レベルも含めて、中世くらいと考えて良さそうだった。移動手段が馬か馬車、そして徒歩だと言うのだからほぼ間違いない。宇宙を渡る事の出来る民族が、中世レベルの文明というのが不思議だが、よくある事情で文明レベルが下がってしまったのかもしれない。



 そもそも、何光年離れた星で、何年かけて地球に来たのかも分からないのだ。超文明が滅んでいたとしても不思議ではないだろう。


(全ての状況を一気に推察しようとしても、頭がおかしくなるだけだ……現状が少し整理できただけでも良しとしよう)



 とりあえず一番に考えなくてはならないのは、自分の身を自分で守れるかどうかだ。これに尽きる。今は体が動かないのはもちろん、動いたとて、この細い体では男には絶対に勝てない。体のどこかを掴まれでもしたら、逃げる事さえ出来ない。



 以前の自分の体とは違うという事が、これほど心細いものだと誰が想像出来ただろう。この白く細い腕は、殴ったらこちらが怪我をしそうなほどだ。もしも男に襲われたらと思うと、身の毛がよだつ。世の女性は、これほどの不安を抱えながら過ごしているのだろうか。



(女の一人歩きは推奨しない口ぶりだった)

 つまりは、油断など出来ない世界で、襲われる側に立っているという事だ。

(そもそも動かないこの体じゃ、すでに詰んでるんだよな……頼むから早く、動くようになってくれ)





 結局、体が動くようになるまで二週間を要した。それでも、『動く』というだけで、自在にというわけではない。少女の体になってしまっている事を差し引いても、この体そのものに何かしらの原因があるように思う。

 細すぎるのだ。もう少し肉付きが良くてもいいのでは……と、思えてならない。食が細かったのか、病気がちだったのか、いずれにしても以前の……オレの体だった時のようにはいかないと、さらに覚悟をしておく必要があるだろう。


(とはいえそんな風に、簡単に割り切れるものじゃないけどな……)



 後はもう一つ、『事実』をどこまで話すかだ。全てを隠して、記憶喪失の少女としてやり過ごし、適当に出て行こうと思っていたが……今の状態だとかなり長居することになりそうだ。とすると、演技や計算などが得意ではないオレは、いつか何かしら、ボロを出しかねない。そうなった時の事を考えると憂鬱だ。



(それに……)

 ここの人達に、不誠実な真似をしたくないと思ってしまっている。善意に対して、これからも嘘をつき続けて生活を共にするなんて出来ない。たとえ気味悪がられて、追い出されてしまったとしても。

(ここまで良くしてもらったんだから、文句なんて無いさ)



 ただ、どこまでをどう話すのかは、まだ決めきれない。自分自身が、状況を一番飲み込めていないのだ。ウソみたいな現実に、流されるまま過ごしている。深く考えようとすればするほど、理解を超え過ぎていて意味が分からなくなるのだ。





「さあエラ様、今日もお体を拭く時間ですよぉ」

「私も来たわよ。日に日に良くなっていくのを見るのは、何ていうか感慨深いのよね」

 二人揃って来るのは、シロエの胸で死にかけた日から、ほぼ毎日だ。



 早く動けるようにと、シロエはさらに張り切ってくれているようだった。リリアナは、半分は雑談をしに来ているようだが。それでも忙しい中、様子を見に来てくれている。


「お嬢様はお仕事サボりに来てるだけじゃないですか。エラ様の体を見たいとか、とんだ変態ですね」



「何言ってんのよ。あなたがまた抱き着いて窒息させないように、見張りが必要でしょう?」

 この部屋に来るまでに二人の間で何かがあった時は、シロエは必ずリリアナに毒を吐く。もしくはその立場が逆の時もある。それだけ仲が良いのだろう。本気で罵っている事は一度も無い。



「あの、いつもありがとうございます」

 そしてこの、高く柔らかな、庇護欲をそそる声色はオレの声だ。滑らかに話すと、何かの楽器かのように耳に心地良い。誰も居ない時は、退屈しのぎに独り言を言ったり、鼻歌を歌ってしまうほどだ。ただ、それでもやはりまだ聞き慣れない。いや、出し慣れない声だ。



「はぁ~、エラ様のお声は素敵ですね。最初はしゃがれ声で心配しましたが、こんなお声だったんですねぇ。いつまでも聞いていたいです。ずっとお話していたいくらいですよ」

「ほんとにね。今度、歌を教えてあげましょう。きっと素晴らしい歌声だと思うわ」

「それは良い案ですね! 楽しみです」



 二人は盛り上がっているが、人前で歌うのはご勘弁願いたい。だが、確かにこの星の歌はどんなものがあるのか興味はある。

「歌……ですか」

「そうよ。エラはどんな歌が好きかしら」



 などと話しながらも、シロエがオレの右腕を拭けばリリアナは左腕を拭き、看病は進んでいく。ただ、今はなされるがままではなく、拭いてもらいやすいように、オレ自身が腕をそれぞれ相手に差し出せている。

 そして、体を動かしながら会話も出来ている。今は本当に、こんな事でも少し感動しているのだ。一つの動作に集中力の全てを出し切らなくても、体を動かす事も話す事も同時に出来ている。街道で必死に這いつくばっていた時とは大違いだ。感動せずにはいられない。



(おっと、会話の途中だった)

「……歌も、分からないです」

 記憶が無いという事は、歌も知らない。嘘でもないし、何かと都合の良い設定だ。



「そう、歌も覚えていないのね……ごめんね、記憶の事、どうしても失念してしまうわ。悪気はないのよ。許してもらえるといいのだけど……」

 感慨にふけっていた間が、落ち込んでしまったかのように感じたらしい。少し申し訳ない事をした。



 しかし、リリアナの質問は、時に誘導尋問のように鋭く切り込んで来る事がある。今も本当は、少しドキリとしたのだ。ただ、本当に知らないものは知らないので、記憶喪失という設定でも不自然なく答える事が出来る。若干の後ろめたさはあるが。



(――今、言ってしまおうか)

 ここでふと、切り出してしまおうと考えた。後ろめたい思いが、引き金になったのかもしれない。



「……いえ、いいんです全然。ただ、お二人に、少しお話したい事があるんです」

「えっ? 何かしら。改まって、大事なお話?」

 リリアナは即座に反応し、シロエはきょとんとしている。



「……はい」

 どこまで話そうか散々悩んだ。悩んでも答えが出なかったが、二人に対しては特に、誠実でありたいと思った事が決め手だった。

(――全て話そう)



「ん……。分かったわ。シロエも一緒に聞いてもいいの?」

「はい」

「ではエラ様、まだ途中ですので、せめて毛布だけでも掛けさせてください」

 オレとした事が、体を拭いてもらっている最中だと忘れていた。それが自然な事だと思わせてくれるほどに、シロエは普通の事として看病してくれているのだ。



 どうにも締まらないが、しかしこのくらい間が外れた方が、話しやすいのかもしれない。

「ごめんなさいエラ。私もいきなりの事で状況が飛んでいたわ」





 リリアナが詫びている間に、シロエは毛布を掛けてくれて、そして侍女らしく微笑んでリリアナの側に移動した。どうやら侍女然とする時は、そういう位置づけらしい。それとなくそれらしい雰囲気も出ている。



 一番空気を読めるのは、シロエなのかもしれない。

「ええと、それでは……」

「うん。遠慮なくお話してね」





 かくしてオレは、二人に事の顛末を全て話した。

 地球という星で生きていた事。その文明レベルの事。男であった事。事故で死んだ事。その直後に眩しい空間で、科学者を名乗る男にこの星に転移されたらしい事。目覚めると今の体になっていて、街道沿いで倒れていた事。



 しかし、地球での記憶がかなりおぼろげな事が気になった。説明するには足りていると思うが、生前の記憶が遠いもののように感じた。忘れかけているという方が正しいのかもしれない。

 考えないようにしていたが、体が全く別のものなのだから、もしかすると自分そのものが薄れていくのではという不安は、なんとなくあったのだ。だが、今は考えても仕方のない事だと自分に言い聞かせた。

 そして、漫然とした不安が湧いている間に、リリアナから矢継ぎ早に質問が飛んできていた。



「すると、今のエラの記憶は地球に居たあなたのもので、エラが今まで過ごしてきた記憶は無いという事?」

「……はい。この体の、街道で倒れていた時より以前のものは全く分かりません」



「この星のどこかが、地球の一部だという可能性はない?」

「お聞きしたここの文明レベルを維持し続けている国は、地球には無いので別の星である事は間違いありません」



「科学者の名前は分かる? その、ゴーストというのが何なのかも」

「すみません。あの空間では、死んだせいか頭が思うように回らず、話を聞くだけで精一杯だったように思います。彼はとにかく、オレには故郷の星に転移してもらうとしか言っていなくて……ゴーストが実際どういう定義のものなのかも分かりません」



「ちょっと待って」

「はい」

「エラ、あなた今、オレって言った……」

「あ……はい。元は男ですので、つい……」



「……やっぱり信じられない。あ、話を信じていないとか、思考が堂々巡りしているわけじゃないのよ? シロエ」

 ――はい。と、シロエはすぐさま棚から置き鏡を持ってきた。そしてオレの顔の高さでこちらに向けた。

「どうぞご覧ください」



 そうして鏡に映った姿は、やつれてはいるが、今まで見た事も無いような美少女だった。

 フワフワで柔らかそうな長い髪は白金に光っているようで、白く透き通った肌は見るからにスベスベとしている。小さな顔の中にはぱっちりと大きな双眸があり、それは真っ赤で滑らかな宝石のように光を纏っていた。細い鼻スジは小高く、少し横を向くと幼さが薄れ、美女のような妖艶さも滲ませていた。



「かっ……わ」

 可愛い。などという言葉では全く足りない。妖精が現れたのかと思うほどの美貌だった。将来はもっと美しい、女神のような女性になるに違いない。



「分かったかしら?」

 リリアナの問いに、鏡にくぎ付けになっていた事をハッとさせられた。

「……これが……お――」

 オレ。という自称があまりにも似つかわしくない。



「――わ、わたし、ですか?」

「そう! エラの顔でオレ、なんて似合わないどころじゃないのよ」

 ぐい。と詰め寄るリリアナに対して、ただただ何度も頷くしか出来なかった。今なお鏡に映る自分の姿に、驚き過ぎて思考が飛んでしまっている。



「絶対、ぜっっったいにオレなんて言わないでね?」

「……わかり……ました」

 呆然として、今何を話しているのかが分からなくなってしまった。自分に一目惚れしてしまうのではないかと思った。しかし、この容姿にしてこの声とは、神の造形を賜ったとしか思えない。



「この容姿とお声で、オレなんて言われたら世界にひずみが出来てしまいますよ」

 シロエはニコニコと、よく分からない例えをした。

「あ、この言い回しはこちらのことわざで、世界に歪が生じるくらい変な事をしていますよ、という意味ですよ」

(…………)



「シロエ、いくらびっくりしたとしても、いきなり毒を吐くんじゃないの」

「だって、衝撃的なお話をされた事よりも衝撃だったんですよ? ちょっとくらい取り乱してもいいじゃないですか」

(オレの身の上話よりも取り乱す事だったのか……でも確かに、鏡を見てオレとは言えなくなってしまった)



「でも、エラを見る目が変わってしまったわね」

「そうですね。今後の方針を決めなくてはなりませんね」

 一変して、二人は神妙な顔つきになった。

「追い出され……ますか?」

 どうなっても受け入れようとは思っていたものの、どうなるかは不安だった。



「そうではないの。単に庇護下に置くつもりだったけど、積極的に私と行動してもらおうか、という選択肢が出来たという事なの。これは、こちらの問題なのだけど……そうね。こちらも全部話す事にするわ。でも、少し長くなるから、夕食の後にしましょう」

 まだお昼を過ぎたくらいだが、夕食後という事は、少し休みを取ろうという事だろう。



「エラ様、お体を拭いたら、夕食まで少しお休みしましょうね」

 そう言いながら、シロエは毛布をはぐとオレの体を再び拭き始めた。

 確かに途中だったが、改めて自分の体を見ると恥ずかしくなってしまった。



「あの……自分で……」

「あら、お顔が真っ赤ですよ。急に照れなくてもいいじゃないですか。今更ですよぉ」



 普段通りに戻ったシロエは、お構いなしに続きの下腹部から足からと拭いてくれた。これまでは、胸は多少あるが痩せた体だなとしか思っていなかったが、何とも気恥ずかしい思いで見てしまっている。

 思い通りに動かない体に対して、動くための訓練をしなければという義務感だけだった。

 何の興味も無く、単なる物のようにしか感じなかった。なのに、急に愛着が湧いたのだ。

(なんてゲンキンなんだ……オレはこんなに浅ましいヤツだったとは、ショックだ)



「エラ様……複雑なお気持ちでしょうが、その容姿を初めてご覧になったのなら当然の反応ですよ。元が男性ならば尚更です」

「気持ち悪く……ないんですか?」

 中身が男だったと聞いた後でも、どうして同じように接してくれるのだろうか。



「驚きはしましたけど、お会いした時からエラ様はエラ様ですから。人として真っすぐな方を嫌ったりしないですよ。それに、同性でもエラ様の体に興味を持つ変態も居る事ですし」


「ちょっと! 健康管理のためよ。でもそうね。確かに驚いたけど、少女にしてはかなり冷静で落ち着いているから、不思議だったのよ。逆に納得できてよかったと思ってるくらいね」

 二人とも、寛大な人たちだ。



「ありがとうございます。この恩は、必ずお返ししますから」

 心からそう思う。

「フフ、私はずっとお世話させてもらえるだけで良いですよ。だって、見ていて惚れ惚れするんですから。私なんて、その髪やお肌にツヤが戻っていくのを見て、どれほど歓喜していたことか。正直、最初はお見せ出来ないほどやつれ果てていらしたんですよ。なので、鏡は置いていなかったでしょう?」



 そう言われると、確かに棚には、というかこの部屋に鏡など無かったはずだった。思えば晴れた日の窓にも、レースのカーテンはずっと掛けられたままだった。反射で姿が映らないようにという、シロエの心配りだったのだ。



「そろそろお見せしても、というか、ぜひ見ていただきたいと思って、今日お持ちしたところだったんです」

 シロエはそう言って再び置き鏡を手に取り、見せてくれようとした。だが、その鏡を持つ手が少し震えている。



「ご自身のこと、どこか嫌っているようにお見受けしていたので。でも今のお姿なら、好きになっていただけるかなって思ったんです」

 シロエの声は、涙声になっていた。その瞳からも、こぼすまいとしている涙がもう見えていた。こんなに泣きそうになりながらも、その微笑みはオレに対する慈しみであふれている。



 どれほどに、オレの事をおもんぱかってくれていたのだろう。シロエへの言葉にならない思いが、胸を熱く締め付ける。ありがとうという言葉では、とても言い表せない。こんなに優しい人が他にいるだろうか。つられて泣きそうになってしまった。



「シロエは本当に心を痛めていたものね。エラの境遇を想像して、ずっと」

 うっかりシロエと見つめ合っていた所に、リリアナがシロエに寄り添うようにして言葉を挟んだ。二人から見てもオレの体は、それだけ酷い状態だったという事だ。

(境遇……というのは、この体の、本来の持ち主の事だ)



「やっぱり、この体はどこか弱っているんですか?」

「やっぱりって言うことは、何か思う所があったのね」

「はい。いくらなんでも細すぎるのではないかと思っていました」

「……ええ。あなたの体はたぶん、虐待を受けていたのだと思う。暴力の痕は一応無かったけど、食事をかなり制限されていたと考えているわ」



「虐待……こんなに可愛いのになぜ」

「それも含めて、夕食の後にね。少し休みなさい。疲れた顔をしているわ」

 リリアナの言葉は時に命令調が入るが、その声色は本当に柔らかい。相手を心から思っていなければ、こんなに優しい気持ちが伝わるわけがない。だからこそ、抗わずに言う通りにしようと、素直になれるのだ。まるで魔法だ。



「……はい。わかりました」

 それに、言われてみれば軽い頭痛がある。自分では今まで感じていなかったが。何しろ、こんなに話し込んだのは初めての事だ。元々が弱っている体なら、なおさらだろう。

(自分でも気をつけなくては)



「エラ様、それではまた後で」

「眠れなくても目を閉じているのよ」

 二人はそう言い残して、部屋を出て行った。

 シロエもリリアナも、今までよりさらに気を許してくれたように感じる。リリアナの子ども扱いはそのままだが、おそらくは、そういう気遣いなのだろう。



 正直な所、ここまですんなりと信じてもらえるとは思っていなかった。夕食後の話とやらに、こちらの話を信じるだけの情報を持っているのかもしれないが。しかし信じたとしても、元が男だという事を普通は少しくらい引いてしまうのではないだろうか。


 それを、本当に何でもない事のように振舞ってくれていた。これほど懐の深い人たちだとは思っていなかった。不安からとはいえ、失礼な見くびりをしていた。

(同じような事が、オレに出来るだろうか……器の違いを見せつけられてしまった)

 とにかく、この恩は――絶対に忘れない。


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