12話 病室にて


 「……という訳で戦力をいだ事は間違いないけど、アイツ……イルと名乗った男は死んでない」

 あのイルが再度襲ってくる事は無かった。それを警戒していたが故に蘭子は疲労が色濃く出てしまったようだ。

 

 「私もお兄ちゃんも元気だし!次は倒すぞ〜」

 「桜夜さくちゃんの気持ちは凄く大事だと思うわ。でも実際戦うことになるとこちらが不利だと思うの」

 

 「そうか?撃退はしたし、万全の状態なら俺たちの方が有利なんじゃないか?」

 「そうだよ!フルパワーなら負けないもん!」

 「そう言いたいところだけどあちらの戦力は邪鬼……いえ、イルネスと言ってたわね。その数だけ増えると思ったほうがいいわ」

 

 確かにかなりの数の邪鬼イルネスを滅したはずだが、多分アイツらはいわゆる無限湧きって奴だと思う。従える数に上限がある……て言うのはあまり期待しない方がいいだろう。

 

 「次にいつ来るか……だな」

 「こちらから仕掛けられるのが一番良いけどそれは厳しいわね」

 「どこいるか分かんないもんね〜」

 

 「なぁ本当にアイツと戦わないといけないのかな?」

 「神威くん……もしかしてビビってるの?」

 「いや!違ぇよ!」

 「お兄ちゃんはどうせ不殺主人公……カッコイイ〜……でしょ?気持ちは分かるけど〜」

 「いや、それも違ぇよ!」

 

 「じゃあ何?殺されかけたのに和解希望?流石に無理があると思うけれど」

 カクカクしかじか(しかくいむーヴ)邪鬼の影響によって意識を失っていた間に見たモノの事を話す。

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