7話 相対
先ほどの攻防でかなり邪鬼を吸ってしまった。
今のところは影響なさそうだがあまり長引かせたくないな。
「
「えぇ、なんとか……神威君も取り敢えずは何とかなったみたいね」
「お兄ちゃん、私はさっきのでほとんど力使っちゃった~」
「助かったよ。ありがとう」
「ううん!お兄ちゃんが盾になってくれなかったら出来なかった作戦だから!」
「あとは俺に任せろ」
「
「……と言いたい所だが蘭子。頼めるか?」
「締まらないわね!頼まれなくてもやってるわよ!」
蘭子は邪鬼を滅しながら毒づいた。
「それよりもお兄ちゃん全身真っ黒……本当に大丈夫なの?」
(あぁそういえば初めての時は右目だけだったけど今は全身がそうなってるのか……)
「思ってたよりも大丈夫っぽい!」
何とかなりそうだと気を抜きかけたその時。
「物量で押せば処理できると考えていたんだが、当てが外れたな」
少し離れた所から見知らぬ声が聞こえてきた。
そちらを見るとすらっとして背の高い好青年風の男性が立っていた。
ただよく見るとかなり肌が白い。生きている人間よりはどちらかと言うと死人に近いような……
邪鬼は様子を
「誰だお前」
「お兄ちゃん。あいつヤバい」
桜夜がささやく。桜夜のお友達ってわけでもなさそうだ。
「新手!?嘘でしょ……」
どうやら反応を見るに蘭子の知り合いでもなさそうだ。
「私はイル。この世界を手に入れるために生まれた」
「世界を手に入れるねぇ……さっきの邪鬼はお前の仕業か?」
(会話は出来る。なるべく時間稼いで少しでも体力を回復させねぇと)
「邪鬼?あぁイルネスの事か。まぁ名前など些末な事だ。ふむ、大方イルネスを吸収した後、プラスのエネルギーで自身への影響を無力化したという所か」
「何を言ってるかわからねぇよ」
「先程から試しているがイルネスの制御が私から移っているようだな。」
(こいつ対話に応じる振りして
「なんかわかんねぇがお前の攻撃は俺には通じねぇって事かよ!」
「少し厄介だな。これだけ手駒を失うと出直すしかないが、芽は摘んでおくか」
イルと名乗った男が構えると数体残っていた邪鬼はすべて消え、両手の中でどす黒い何かが渦を巻く。
「お兄ちゃん!ヤバいよこれ!なんか来る!」
「逃げなさい!」
桜夜と蘭子が叫ぶ。
「
「桜夜!避けろ!」
一歩前にでて両手で受け止める。
邪鬼と比べて吸収される際の抵抗が大きい。
「ぐっあぁああああ!!!」
一瞬で深海へダイブしたかのような圧力を全身で感じる。
「神威君!」
蘭子が呼ぶ声が遠く聞こえる。
「ふっ。それ程吸収すればもう命はないだろう。精々もがいて死ぬがいい!」
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