第18話 必要ない

 僕の心にグッと力が入る。多分、僕は今まで、彼女の隣にいたいって、きっと、また、あの頃みたいに戻れるって、そう思ってた。違った。違った。違った。僕が彼女を、苦しめてるんだ。そうだ、なんで、わかっていたじゃないか。もう、今までとは違う。何もかもが違う。それはもう、取り返しのつかないところまで、来てしまっていた。最初から、全部、ダメだった。思い上がっていた。まだ、僕が、彼女と一緒にいられると。知らなかった。僕がしたことは、それほどまでに、最低であった。今、本当に、思い知ったんだ。何が、僕が悪いだ。何が、僕のせいだ。そんなことを言って、結局、僕は謝れば許してくれるって、そう思っていた。彼女はもう、ただの、元同級生なんだ。ちょっと、付き合いがあっただけで、ただ、それだけで、もう、僕はその程度の存在なんだ。彼女の優しい笑顔が、何よりもそれを、物語っている。だから。


「もう、大丈夫だよ。うん、僕に君は」

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る