第16話 あの時と
少し散歩でもしようか。僕は、昔から、夜の散歩が好きだった。でも、あの頃は夜遅いから、危ないからって。でも、だからこそ、僕にとって、これは特別なのだ。最初は、中学校に入ったばかりの時だった。特に何か大きなことがあった訳じゃなかったけど、なんか、もう、色々と溜まりに溜まってて、それで、いつの間にか、こっそり抜け出していた。よく覚えてないけど、あの時は、それだけで、すっきりした。どうしたんだっけ、適当に歩いて、知らない道に出て、なのに、不安よりも、なんか、こういうのいいなって、思っちゃって、でも、次第に足も動かなくなって、帰り道もわかんなくって、それで、休憩がてら、この公園に、きて、そしたら、そこに、
「なんか、久しぶりだね」
ああ、なんで、なんで。そこにはまるで、あの時のように、彼女が立っていた。ああ、でも、僕に笑いかけるその笑顔は、もう、あの時とは違っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます