第8話 歪んだ心で廃った時間

 「あれ、どうした、なんかすごい浮かない顔してるけど」

いつも、お弁当を出してたら、いつの間にかいて、毎回、「ご飯食べにきたよ」って。なのに、一言目が、これだもん。今日一日、いつも通りに過ごしているつもりだった。クラスメイトの、友達のみんなも、きっと、いつも通りの私に見えたはず。時間ってすごいな。中学校からの付き合いで、こんなんだったら、彼はきっと、もっとだろうな。だめだな、しんどいな、疲れたな、ちょっと大きいものを、失ったな。

「いや、ちょっと、喧嘩?しちゃって」

無理があるよ。喧嘩なんて、するほどの関係じゃないし。喧嘩なんて、しないような関係だったし。昨日は、もう全部、わからなかったな。そんなつもりじゃなかったのに、やっぱり、私じゃだめだったな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る