第9話 通りすがりの人気者

 なんとなくだった。誰が好きとか、そういうのとは無関係な人生で、よく考えたら、男子と二人きりで、なんて、彼を除いて、初めてだった。いつも通り、学校終わって、帰ろうとしたら、突然、声をかけられた。学校の中では、話す方だったけど、急だったから、びっくりしちゃって。告白なんてされたことなかったから、どうしていいか、わからなくて。でも、なんか答えなきゃって、好きだったかはわからないけど、かっこよくて、優しくて、スポーツもできて。なんかそんな感じで、すごく人気がある人で、断る理由がなかった。あと、なんか舞い上がっちゃって。それで、そのまま、付き合って。だから、だから、なんとなく自慢してやろうって、ちょっと不安もあったけど、勢いで話し始めちゃって、でも、だんだんと、彼の顔が曇って、今まで通りの冗談も、今まで通りの話し方も、できなくなって、それが、私じゃどうにもならなくて。

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