わたしと語る夜

もともと生まれてきた時には

自分という存在以外

何も持っていなかったのに

思えばずいぶんと

あれが欲しい

これが無いと

贅沢になってしまったねぇ


あること、が当たり前で

求めることばかりに

心をとらえられて

この手に持っているものを

大切にすることを

忘れがちになってはいないか


わたしは

わたしに

語りかける


俗物だもんねぇ

そんな清廉でばかりはいられなくて

欲だってズルさだってあるけど

それでも

こんなふうに

せめて振り返ることぐらいはしたい


ねぇ、わたし



わたしと語る夜がある。

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