進化!


【あなたのレベルが上がりました。レベルMAXの為、進化可能です。】





 ひゃわあ!!突然のアナウンスに驚きその場でハイジャンプしてしまった。向こうからアプローチしてくることなんてなかったから慣れてないだけだ。クソが。




 で、なになに?レベルアップはまだ分かるとして、進化?このネズミ、進化するの?え?






 ─────


[名称]あなた

[種族]〈マミーラット・ベビー〉

[LV] 5/5(進化可能)

[体力]3/14

[魔力]5/13

[物攻] 8

[物防] 6

[魔攻] 8

[魔防] 6

[素早] 15


《スキル》

[噛みつき.Lv1][斬りつけ.LV2]

《耐性.特性スキル》

[毒耐性.Lv1]


《称号》

[変異体][同族嫌悪]

 ─────




 取り敢えず、今のステータスを把握しておくと色々な能力が上がっているのがわかった。体力はやはり、かなりギリギリだったみたいだ。あのマザーの攻撃一発耐えられただけ、奇跡だったといってもいい。打ちどころ悪かったら多分一撃で沈んでる。




 後、レベルに上がっても体力と魔力は回復しないのね。レベルを上げた後の上昇数値分がかさ増しされるわけでもないと、これも覚えておいたほうがいいな。無理な連戦は禁物だ。



 そして...おまちかねの進化だ。説明してもらうとしよう。




【進化。エボリューション。より高いランクの魔物へと身体が変化する。レベルが1に戻る。】




 いや、進化の意味じゃねえよ進化先だよ。知らない情報もあったから助かるっちゃ助かるけど概ね意味は伝わるわなんだよエボリューションって英語じゃねえか私英語分かりませんけどぉ?




【Spell is Evolution. 】




 ごめん、そういうのいらない。




【進化先を表示します。】



─────現在───────

〈マミーラット・ベビー〉ランク-


─────進化先─────

〈マミーラット〉ランクF

〈ダストマウス〉ランクF

〈アブラネズミ〉ランクF-

〈ハウスラット〉ランク-

 ──────────────



 表示された進化先は4つだ。ハウスラットは最早ナシといってもいいから実質提示されたのは3択だといっていい。





 ラット、マウス、ネズミ.....どれもネズミを表す言葉ではあるが、進化する上でなにか違いはあるのだろうか。




【ラットはやや大柄であり、ラット種に進化することで全体的に進化後のステータスを補強することができます。】




 お、おう?



【マウスは小柄なネズミを指して呼ぶ名称であり、進化後のステータス保証が出来ない代わりに特異なスキルを習得したり、現在の進化ルートとはまた違うものへ進化することができます。】




 ふんふん、ステータス重視で進化前に覚えたスキルを引き継いでいく形になるのがラット。一方で多種多様なスキルを覚えて次の進化先で挽回する形になるのがマウス系の進化なんだな。マミーラットは最初からマミーラットだったから、流石にマウス系統の進化系はあると思うけどな。じゃなきゃマミーマウスなんてヤツがいていいんじゃないかとは思う。


 あれか、マウスは別にラットの下位互換じゃないってだけか。必ずマウス系統にならなきゃ進化先がこないってことはなさそうか。ただラット系統以上に選択肢が取れるってのが長い目で見れば優れてる点かもしれない。




 そして、ネズミは....?





【ネズミはラットとマウスの中間に位置する系統です。ラット程ではないステータスの伸びと、マウス程ではないスキル習得が見込めるバランス型ですが、レベルアップの過程で習得したスキルを一部消去する役割があります。】




 なるほどね。取り返しがつかない何かを得たとき、後戻りしたくなったときの為の救済措置みたいな使い方でいいのか。あまり積極的に選ぶような進化先ではなさそうだが、万一のこともある。頭に留めておいて損はないだろう。




 恐らくはマウス→ラット→マウス→ラットみたいにマウスでスキル習得してラットへ進化→またマウスにみたいなムーヴが理想的なのだろう。マウス→マウスでステータスがあまり上がらないような進化をしてしまうと、スキルは覚えるけどステータスが付いていかない弱点をかかえてもいる。


 マウス系統は決して万能じゃない。ラット→ラット→ラットみたいな進化の仕方でも特化型で高いステータスが付いてくる分安定択に入る。




 それに...はじめての進化で流石にステータスの伸びが見込めないマウス系統への進化は身体が求めなかった。きっとこれから、マザーを超える魔物やらに出会うことは火を見るより明らかで、今回散々苦戦したマザーですらランクの付いていない一般動物同然の扱いだった。このあまりにも低すぎるマミーラット・ベビーでのステータスをそのまま引っ張っていく自信は無かったのである。




 一応、それぞれ名称は違うらしいから解説だけしてもらう。






【マミーラット】ランクF


《身体の一部に包帯が巻かれた傷だらけのネズミ型モンスターであり、体内に強力な毒や呪いを媒介している。動物の死骸に集まりその肉を主食にしている害獣で、まともに埋葬されなかった遺体から湧くことから悪魔還りの象徴とされている。》




 うん、この前見た説明と全く同じだ。ランクが付くってことはこれになってからは本格的な魔物になっていくというだけのこと。




【ダストマウス】ランクF


〈家屋に住みかを作り、人にとっての有害スキルを習得する。見かけたら潰せとまで言われている、存在事態が害悪のネズミ型モンスター。小柄で狭いところまで入ってはいけるが、その分潰れやすい。〉




 ダストマウスは状態異常スキルを覚える初期のネズミ型魔物って感じか。




【アブラネズミ】ランクF-


〈身体に複数の毒素を混ぜた油でコーティングしているネズミ型の魔物。戦闘能力は皆無だが、この魔物が持っている能力は、死んでから発動する。アブラネズミを潰してしまった人家は引っ越しと破棄に迫られる。〉




 アブラネズミは書いてあることがヤバいが戦闘力は弱い。死んでから発動する効果では私にとって恩恵がない。




 となると、やはりマミーラットかダストマウスの二択か。状態異常ものは強いけれど、Fランクからそれに特化していって良いものか悩みどころではある。




 うん、マミーラットにしよう。取り敢えず困ったら安定択だ。





【マミーラット・ベビーからマミーラットへと進化します。】




 私はアナウンスに対して一度頷き意思表示する。私の身体が熱を帯びて膨らんだように膨張し、目線がほんの少し高くなる。ベビーが抜けるだけだ、そんなに姿が変わりはしないだろう。





 そして、数秒経過した辺りで身体が冷めた。進化完了といったところだろうか。これがまた別の種への進化だったら大きく変わるのだろうが、進化したんだ~って実感はない。




─────

[名称]あなた

[種族]〈マミーラット〉

[ランク]F

[LV] 1/15

[体力]5/18

[魔力]5/14

[物攻] 7

[物防] 5

[魔攻] 11

[魔防] 8

[素早] 13


《スキル》

[噛みつき.Lv2][斬りつけ.LV2]


《耐性.特性スキル》

[毒耐性.Lv1][衝撃耐性.LV2][飢餓耐性.LV-]


《称号》

[変異体][同族嫌悪]

─────



下がった能力もあるが、魔法攻撃力と体力の伸びが進化前よりも凄くよくなっている。他の能力もレベルアップすれば順々に伸びていくだろう。



さて、進化したところで動き回りたいのは山々だが、1日は休まねえとな。マザーの攻撃を散々食らって心身共に辛いものがある。体力とか残り3分の1切ってるし、このまま移動したら道中で死にかねん。


1日の休息と適度な食事ってのがやっぱり活動するうえでは欠かせないな。ひとまず休んでおこう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る