第5話 上級魔術師
一週間後、入隊式が執り行われた。支給された黒に所々赤いラインの入った軍服に袖を通して鏡を見てみると、軍人になったという実感とともに自分がかっこよく見えてきた。
晴れやかな気持ちで時間少し前に入隊式会場に向かうとすでに新入隊員で会場はいっぱいになりかけていた。
そしてしばらくして厳か雰囲気の入隊式が始まった。偉い人の長くてつまらない挨拶を目をつけられない程度に聞いるうちに入隊式は割とすぐに終わってよかったと安心した。
午後からは事前に連絡のあった自分の配属先に移動する必要があるので俺は食堂で早めの昼食を食べて自分の配属先を聞きに方面軍本部に向かった。
「レオン・メイナード、入室します。」
色々な警備を通って本部の建物の最上階の司令官執務室にたどり着いた執務室の扉をノックする。
「入りたまえ。」
部屋に入るとそこにはエルリッヒ上級大将が笑みを浮かべて座っていた。
「そこの椅子にかけて少し待っていてくれ。もうすぐでこの書類が終わる。」
俺は言われるがままに椅子に座った。するとすぐに書類を終わらせて俺の方にやってきてすぐに口を開いた。
「最近、ファーレンス王国にきな臭い動きが多くてね。その関係で書類仕事が追いついていないのだよ。」
「戦争に発展する可能性は高いのですか?」
「かなり高い。おそらく今年中には戦争になるだろうと見ている。」
父からファーレンス王国との戦争は近いと聞いていたが、まさかそんなに緊迫した状態だとは思ってもいなかった。
「世間話はこの辺にして、本題に入ろう。」
「上級魔導師オルガ・エルリッヒの名において、レオン・メイナードを上級魔術師に認定する。」
エルリッヒ上級大将はそう言いながら。認定証とおしゃれな模様の刻まれた銀の懐中時計を渡された。この懐中時計は魔術触媒であるとともに、上級魔術師であることを示す証でもある。
ここで魔術師のランクをとりあげよう。
魔術師のランクは上から順に賢者、上級魔導師、魔導師、上級魔術師、魔術師の5つに分かれていて例外はあるものの、基本的な基準は
賢者 第七位界魔術が使える
上級魔導師 第六位階魔術が使える
魔導師 第五位階魔術が使える
上級魔術師 第四位階魔術が使える
魔術師 第二位階魔術が使える
となっている。帝国魔術学院の卒業生の卒業時の一つの目標が上級魔術師になることなので上級魔術師は魔術師としてエリート街道を歩むスタート地点にようやくたったともいえる。
「そして、帝国東部方面軍司令官としてレオン・メイナードを少佐及び第一軍団第一師団第三大隊第一中隊の中隊長に任ずる。」
簡潔にまとめられた辞令と階級章、佐官用の軍服を受け取った俺は予想よりも高待遇で内心喜んでいた。正直大尉くらいかと予想していた。
「意外だったか?」
「はい。流石に成人したての私が佐官からスタートとは思いませんでした。」
「魔術学院卒業したての上級魔導師は基本的に少佐スタートだ。魔術師は魔術の実力で評価されるべきであるからそこに年齢は関係ない。第一師団は私の指示で前線を飛び回る事になるから頑張りたまえ。君には期待している。」
「ありがとうございます。」
エルリッヒ上級大将から辞令を受け取った俺は執務室を出て第一師団の駐屯地に向かった。
イヴァーリアス帝国軍は割と近代的な階級制を導入していた。
総帥
大元帥
元帥
将官 上級大将 (エルリッヒ)
大将
中将
少将
准将
佐官 大佐
中佐 (レオン祖父)
少佐 (レオン父、レオン)
尉官 大尉
中尉
少尉
准尉
下士官 曹長
伍長
一般兵 一等兵
二等兵
三等兵
そして軍隊の規模は大きい順から
軍、軍団、師団、旅団、連隊、大隊、中隊、小隊、分隊の9個に分かれている。
連隊以上は人数の変動が大きいので割愛するが、1分隊は5人、1小隊は3分隊、1中隊は3小隊を目安に編成されている。
(一中隊=約50人です。)
階級の目安として、尉官が小隊長、佐官が中隊長、大隊長、将官が旅団長、師団長、軍団長を任せられることが基本である
。
ここ、東部方面軍では方面軍本部のある軍事都市イスタリアに駐屯する第一軍団、東部の要所を守る第二から第四軍団の4つの軍団が存在する。
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