第9話 決戦
決戦が、始まった――――
「いくぞ!」
俺は魔法剣を取りだし、メラメラと燃えるロベリアのもとへ走っていく。ロベリアは、炎の弾を次々に発射するが、それを剣で弾いていった。
「はぁぁ!!」
魔法剣と炎の大剣がぶつかる。ギリギリと、拮抗が続く。だが、全身を炎に包むロベリアの力はさらに増していく。
そして、次の一振で俺の体は弾き飛ばされてしまった。
「ふふ、その程度なの」
「そんなわけ!」
また、俺はロベリアのもとへ突っ込んだ。
――この戦いは、俺がどれだけ時間を稼げるかが鍵になっている。
カイトの勇者の力、"英雄の一撃"は、SPを消費すればするほど高威力の技を放てる。だが、先ほど一度使ったため今の彼のSPは0だ。これを、最大値まで回復させて、もう一度ロベリアに当てることができれば、きっと、完全に
そこで、俺はロベリアの注意を引いておく必要があることは当然だが、カイトもまた、彼女に見つからずにSPを回復させる=体を休ませる必要がある。
ならば、俺の底知れぬ魔力をあてにして、耐久戦に持ち込むのがよい。
――っていうか、"俺の底知れぬ魔力"って何であるの?
「あんたたちの考えはもう読めてるよ。弓の勇者でしょ?さっきの技をもう一度……とかね。させないわよ。あたしも後がないの。全力でいかせてもらうわ」
すると、ロベリアは、腕を天に掲げ、叫ぶ。
「~
瞬間、ロベリアの掲げられた手から無数の小さな輪っかのようなものが現れた。それは地面を走り、衝突した石やつるまですべてを吹き飛ばさんと回転して暴れまわった。
名前の通り、まさに、"乱舞"だ。
「生憎だな。俺だって、同じやつに二度も負けられないんだよ!」
回転しながら突っ込んでくる花火を、剣で切り刻み、弾いていく。
確かに、魔王ロベリアの力は絶大だ。そう何度も負けるわけには行かない。この回で、確実に仕留める!
「うぉぉぉ!!」
魔法剣にありったけの力を込める。だが、
「チィッ!」
ロベリアが高く飛び上がる。俺の剣が外れた。当たらなかった。カイトのSP回復もまだ終わってない。
ロベリアは、上空まで長いつるを伸ばし、そこから、葉っぱを飛ばす。
いつのまにか、やつのドレスは深緑に戻っていた。
「あんたたちも、ここまでは届かないでしょ!」
「逃がすかっ!」
足に力を込め、思いっきり飛び上がった。上空のつるに着地し、剣をロベリアめがけて振る。だが、 再び真紅に染まったロベリアは、炎で包まれた腕で剣を受け止めた。
「何っ?!」
「落ちてしまいっ!」
すると、ロベリアの腕から灼熱の炎が吐き出され、炎に押された俺の体はつるから弾き飛ばされた。さらにロベリアは火炎弾で追撃を出す。
「こうなったら………!!」
なんとか体勢を取り、着地した。そして、スキルでロベリアが乗っているつるを消失させた。ロベリアも、着地をこなす。
――さて、そろそろか。
と、次の瞬間、世界から音と光が消えた。
「………??」
いったい、何が起きた?ロベリアも、カイトも、俺自身の体も何も動かない。
――どこからか声が聞こえる。
『楓。俺はもう無理そうだ。だから、これをお前に託す。うまく、使いこなしてくれ。そして、ロベリアを、アトラスを、ブラックを、倒してくれ』
零の声だった。つまり零は、ブラックに負けて俺に伝説の剣の力を託した……ということか。
「わかったよ、零。あとは、任せて」
そして、世界に色と音が戻る。
俺の手には、輝く剣、"伝説の剣"が握られていた。
「また……なの?」
ああ、そうか。ロベリアはカイトが覚醒する瞬間を見てるのか。
「ロベリア、お前を倒す。カイト、準備は?」
「いつでもいいよ。SPは回復した」
「OK。
「「勇者の力、【
「いいわよ。
伝説の剣の斬撃と、伝説の弓の光線が混ざり、1つの光線となり、ロベリアの火炎とぶつかった。
二つの光線は押し合い、拮抗する。
「アハハハ!SPを使いきったら二度と打てないあなたちとちがって、持久戦ならこっちが有利なのよ!」
「くっ……ダメか……」
「カイト、いっせーのでもっと力出せるか?」
カイトは、この短時間の打ちに2回も英雄の技を撃っている。かなり苦しそうな表情だが――
「……ああ、できるさ!」
「よし。「いっせーのーで!!」」
「「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」」
「やぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
――バチィィィンン!!――
………………………………………………………………
――――カハッ!!
……俺たちの英雄の技は、拮抗を打ち勝ち、ロベリアの体を撃ち抜いた。
そして………
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