第3話 異世界
夏のある暑い日、僕こと木村零は、学校からの帰り道で突然魔方陣に吸い込まれ、異世界に召喚された。
その後、召喚された先の国で、この世界についていろいろ聞いた。特に、僕を召喚した目的である"魔王"と"勇者"というものについてはよく聞いた。
魔王――世界を滅ぼすと言われている邪悪な存在で、既に世界の1/5ほどが魔王の支配下におかれている。
勇者――魔王が世界に現れた際、異世界から召喚された人が任命される。勇者特有の力を持ち、世界を救うと言われている。
という感じで、初日は終わった。
勇者として召喚された2日目、僕は勇者パーティを組むことになった人と対面することになった。
王城の玉座の間のような場所に集められた僕たちは、一人一人互いに自己紹介をしていった。
「俺はライト。得意武器は剣でこのチームのアタッカーで、リーダーでもある。元騎士でもあるから剣に関してはどーんと任せてくれ!」
「私はフィオナ。魔法使いよ。属性は氷と回復系のが得意ね」
「僕はウィル。前衛で敵の攻撃から守る盾師だ。自分ではそう思ってないけど、僕の後ろにいて傷をつけられることは絶対にないって評判みたい。よろしく」
「俺はビル。難しいことはさっぱりわからんが、鍛えぬいたこの体だけは誰にも負けねぇ。攻撃と防御に関しては俺に任せてくれよな」
「最後、私はミア。この中では最年少……かな。一応魔法とかで、サポートすることが多い。」
「それじゃあ僕も。僕は木村零。14才、中学生……って言っても分からないよな。」
僕たち勇者パーティは、僕を含めて6人で構成されていた。戦士、魔法使い、回復術師、盾師とチームにあるべき役割は全て揃っており、非常にバランスがよい。それもそのはず、彼ら5人はかつては最強のパーティとか言われて名を馳せていたそうだ。そこに、勇者たる僕が混ざった。
召喚されてからの数ヵ月は町の近くにある森でのレベル上げを中心として活動した。
ここで、僕が召喚された世界を解説しよう。
この世界には『ステータス』と呼ばれる自身の能力を数値で表すものがある。体力(HP)、攻撃力、防御力、すばやさ、スキルポイント(SP)をそれぞれステータスで知ることができる。
※SPとは魔法などを使うときに消費される力である。一定時間たつと回復し、レベルが上がるとその最大値が増える。
この世界に存在する生き物の命を止めたときなどのタイミングで、その者は経験値を得ることができる。経験値が一定量たまった時、レベルが上がり、ステータスの数値が上昇する。
僕はこの世界に召喚されたばかりのため、Lv.1である。そんな状態では目的の魔王はおろか、その辺にいる魔物すら1人で倒すのは厳しいとのこと。ゆえに、僕は仲間と共にレベルを上げることにした。
ちなみに、勇者パーティの5人は、それぞれレベルは50~60代で、結構高めだ。
町から少し外れた森の中で魔物と戦った。仲間と協力したり、1人での戦いかたを教えてもらったりしながら、着々とレベルは上がり、2ヶ月後にはLv.30いくらかまで上がった。仲間たちもLv.60後半くらいになった。
そのあとの何ヵ月かは、レベル上げもしつつ、魔王関係の報告が入ったら、それに対処をしに行くという感じで進んだ。
魔王の手下と名乗る者が現れ始めたのは、召喚されてから3ヶ月ほど後の事だった。
手下は、村など人が集まるところを中心に襲っていった。
という感じで、ここまでは順調に進んでいたが、事件が起きた。
いつもの森でレベル上げをしていたところ、城の兵士が突然やって来て、こう告げられた。
「伝令!西の村で魔王の手下らしき人物の報告あり!願わくは直ちに出動せよ!」
「来たか!」
「魔王の……手下!」
魔王の手下は、今までに何度か戦い、倒した奴もいた。また、次の手下が動き出したようだ。
僕がこの世界に来てから今までは魔王自身は一切の動きを見せていなかった。既に一年ほど経過しているため、いつ動き出すかと、城の者たちも常に警戒していて、非常に居心地が悪かった。
このときまでは、僕は今まで通りに戦って、楽にとは言えないけど、手下を倒せると信じきっていた。
しかし、ここが僕の運命を変える大きな分岐点だった。
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