第7話 方針と隣町
アイリアに何らかの事情があったために、俺と共にシュネムを倒すことに協力してもらえることになった。
「さてと、今後の方針を決めていかないとな。奴を討ち取るって言っても闇雲に探したところで見つからないし、正直2人でも厳しいと思う。」
協力すると言っても、俺らは今日始めて出会ったばかりだから連携も何もない。そんな状態であんな奴には太刀打ちできないし、神も1人で挑むのは無謀だ、無茶だと言ってた。
ならば、すべきことは
①仲間を募り、戦力を増やすこと
②連携を確認すること
③個人の能力をあげること
④シュネム、アトラスのスキルを知ること
の、4つだろうか。このうち、何より優先すべきは①だ。②は仲間を募ってからでないと無理だし、③は単語帳のように隙間時間とかにすることだし、④は情報が無さすぎてまだできない。
「ということでまずは仲間を探そう。俺らのようにシュネムに恨みがある人は他にもいるはずだ。」
「だったら、冒険者として登録するのはどうかしら。そこならパーティ勧誘できるから良い戦力になる人が集まるかもしれないし、シュネム関連以外でも色々できるからね。」
『冒険者』とは、
各町にある冒険者ギルドに貼り出される『依頼』をこなす、いわば何でも屋のようなものである。何人かのパーティ(グループ)またはソロ(1人)で活動し、それらはそれぞれで勧誘しあって作られたものである。
(アイリア曰く)
「それは良いね。よし、早速いこうぜ!」
「私はもう登録済みだから、今回はカエデの登録とパーティ申請の2つをしましょうか。」
その後俺たちはベニアドラにある冒険者ギルドに向かった。高さ十何メートルかの三階建てで木造の建物だった……はずなのにそこには何もない。
「そういえばシュネムが崩したんだっけ?」
「そう……だったな。」
おいおい、これじゃあ登録できないよな。復興はいつ頃になるのだろうか。
「どうする?」
「どうしようにも、ギルドの建物が直らないと冒険者の登録はできないんだろ?なら、他のことをするしかないよな。」
「君ら、冒険者ギルドに用があるのか?」
ギルドだった場所の前でがっくりとうなだれていると、40代くらいの男の人が話しかけてきた。商店街とかで「へい、らっしゃい!」とか言ってそうな雰囲気の人だ。
「ええ、そうなんですけど、どうやら昨日の事件で建物が崩れてしまったようで……」
「例の殺人鬼のやつだろ?昨日ここで暴れて十数人ほどか亡くなったらしいじゃねぇか。まったく、いつになったら捕まるのかねぇ。」
男の人は空を見上げてそう呟く。
「あの、おじさん。この辺りでここの他に冒険者登録をできるところはありますか?俺たちはそのために来たんですけど。」
「ここ以外でか?なら、となり町にいくと良いぜ。そこで登録してもこの町で活動することもできるからな。」
「ありがとうございます!ならアイリア、行こうか!」
「わかったわ。となり町ならそこまで遠くないから徒歩でも問題ないわ。早速行きましょ。」
ベニアドラは北を森、南を海で挟まれたどっかの幕府のような地形をしている。そして東西は別の町になっていて、東を『ミトロセリア』、西を『イールイゼン』という。
これから行こうとしているのはミトロセリアの方で、イールイゼンと比べると治安が良いところだそうだ。ただ、シュネムの事件は多めらしい。
「シュネムの事件が多いけど、その他の事件はほぼ無いといってもいいわ。つまり、シュネムの事件を調べるにはうってつけね。」
豈に都合の良からずやと、俺は即答でそこに行く事に決めた。それがもとからの目的で冒険者はついでだからな。
奴らの情報をどれだけ得られるかわからないが、行かないことにはなにも始まりはしない。あくまでもシュネムはアトラスと似たような台詞を言っていたにすぎないわけで、関係があるかどうかはまだわからない。シュネムを追い詰めてもアトラスとは無関係でした!とかになる可能性だって十分にある。
だが、アトラス、てめぇには必ず復讐してやる。俺の家族に町のみんなを奪ったんだ。
お前は絶対に許さない!
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