11. 外国
「あたしさもう17歳なんだよ。
秋人と、手、繋いでいいのかな?」
秋人は平然としてる。
それが悔しくて、秋人に問いかける。
秋人は顔をしかめた。
「嫌?」
「そうじゃないけど・・・」
あたしは、だいじょうぶじゃないんだ。
「ならいいじゃん。」
秋人はそう言い放ったあと、指と指を絡めた。
「なんでこうやって繋ぐの?」
「紗良を離さないため。
こうしてないとまた
外国に行っちゃうだろ。」
あたしは、俯いた。
五年前。
秋人に何も言わずに
あたしは、
お父さんとアメリカに移住したんだ。
そして今年の春、戻ってきた。
五年ぶりに再会してから、
時々秋人が分からなくなることがある。
急に
「さら」
って優しく呼んでみたり
こうやって、
まるで恋人みたいな行動をしてみたり。
正確に言い表せない関係に、
あたしは足元がおぼつかなくて
いつも不安だ。
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