7.逃げるぞ

「あき~」





足の震えが、止まんない。






秋人は優しくあたしの頭を撫でると




「賢人っ。」



副リーダーの賢人に

声をかけた。





「俺は紗良を連れて逃げっから、

 ここはお前に任せた」





「りょーかいっ。」







秋人はあたしの左手を握った。




久しぶりの秋人の手のひら。




こんな状況なのに、どきどきしてしまう。








「走るぞ!」








「えっわぁぁぁ」




う、腕ちぎれるよ、秋人早いっ。




ものすごい勢いで、腕を引かれる。









「守るぜっ。」




と、道を開けてくれたのは登さん。






殴り合いの喧騒のなかを、




あたしたちはすり抜けていく。





うおおおっ秋人もうちょっと遅く・・・









気づいたら倉庫を脱出していた。




連山はもう追いかける気力は

無さそうだった。








けど、秋人は倉庫を出てからも暫く走った。








無表情で何度が倉庫の方を振り返り、




またあたしの手を引き、走った。









倉庫からずいぶん離れたとき、




秋人はようやく立ち止まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る