6.ばか紗良。




「秋人やめてっ。」




あたしのせいで、あんなやつに・・・








「さら、頼むから大人しくしててよ。」





いやだよ。







「どうせこいつに




あたしを殺す度胸なんかないんだからっ。




あたしなんか

ほっといてさっさと倒してよっ!」





「黙れえっ」




首筋にナイフを突きつける

番長の手に力が入った。



く、、と


緊張で喉が閉まる。




「紗良ちゃん!」


「紗良っち。」


桜坂のみんなが


切羽詰まった顔で、私を見ている。



怖いよ、




だけど秋人が理不尽な目に遭うのは

もっと嫌だ。






覚悟を決めて、




あたしは思い切りボスの手に噛みついた。





「いってぇっ」






一瞬、連山のボスの手が緩む。




今だ。





全力で男の股間に

思い切り蹴りを食らわせた。






崩れ落ちたものの、

致命傷にはならなくて




もう一度襲いかかってきた。








ゴスッ






連山の番長は秋人の膝蹴りを食らい

泡を吹いて倒れた。



「はぁ・・」




力が抜けて




足から崩れ落ちそうになった

あたしの体を秋人が抱き締めた。





「このアホ。」




秋人の、声と息が降ってきた。







「俺を殺す気かよ。

 心配させんなバカ紗良。」

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