4.銀のピアスが光って





「待たせた。」




夕日が逆光になって、




秋人がどんな表情をしているのかは

見えなかった。






「紗良。」




秋人が掠れた、


優しい声であたしの名前を呼んだ。








秋人の後ろから、声が聞こえてきた。




「紗良!」

「紗良ちゃん!!」

「紗良ちゃんだいじょうぶか?」

「紗良っちー。今助けるぞー。」




桜坂のみんなだ。




賢人に、登さんに、シズさんに・・・




みんな来てくれたんだ。






「みんなぁーー!」








「止まれ!」




低く大きい声が響いた。


連山の番長だ。







「それ以上近づいたら、




この女がどうなっても知らねえぞ!!」






桜坂のみんなは足を止めて、

秋人の顔を伺った。







秋人は俯いて唇を噛み、

荒々しく髪をかきあげた。




グレーの瞳が、連山の奴等を睨み付ける。






「お、おい秋人っ、

 それ以上近づくなっつってんだろ!「」






「うっせぇ、黙れ!!」




秋人は叫んだ。




「紗良を巻き込むと考えたやつは誰だ!?


 名乗り出ろ ぶっ殺してやる!!」





「・・・・・」





連山の奴等は、

金縛りにあったように動かない。




人数は連山の方が多いはずだが、


秋人の迫力に、動けないのだ。









それを見て、秋人は無表情に言った。




「んじゃあ、全員、処刑。」








桜坂のみんなが一斉に連山に攻めこんだ。







「・・・・・」




あたしは、

逃げることも忘れて呆然と座り込んでいた。








桜坂は強すぎる。





次々となぎ倒していく。





さすが県内最強と言われるだけあるよ。








とくに、秋人。




強すぎるし、怖すぎるよ。




ものすごく、殺気だっている。







秋人の耳についた銀のピアスが光った。

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