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 僕は産まれてから特別だった

 周りが持ちえない能力を持っていた

 親は神からの賜物だと小躍りしていたらしい

 5歳になる頃に白装束が家に来て僕はそいつらに明け渡された。そいつらのアジトに運び込まれ、来る日も来る日も魔力総量検査・魔力出力検査・能力検査が続けられた。衣食住と健康が保障されているだけ良いと思おう


 6歳になる頃には僕と同じ異能持ちを戦わせた。正直、僕は戦いは好きじゃないでも、僕を認めてくれたあの子のことを想って



「嫌だな〜」

「どうして嫌なんですか?フェイさん」

「だって〜私の新しいバディー研究所最強なんでしょ〜?死んじゃうよ〜」

「随分と弱気なんですね。貴方の魂幻術は特異点に達している。貴方の手にかかれば傷害にならないはずですよ?」


 簡素な服を着た紫髪を持つフェイと呼ばれている少女はケラケラと笑うことしかしない。横を歩く女性は軽くため息をつくことしかしない・・・・彼女には濾が行ってきた悪行を思い出し気分が重くなっていく


「ここであってるの〜?」

「ええ」


 女性は巨大な扉の横に設置された装置を操作し扉を開け中の全貌が明らかになる


「おっじゃましま〜す〜」

「失礼致します」

「・・・・はい、いらっしゃい」


 ベットとデスク以外の物が一切無いミニマリストじみた部屋だ。他の被験体の部屋を見てきた女性は気味の悪さを感じぜずにはいられなかった。そして、その部屋の中心に立っている少年からは以上なまでな薄気味悪さを感じる


「貴方が研究所最強のアニータね〜」

「うん、初めましてフェイさん」


 フェイとアニータは握手を交わすが突然、アニータが全身から血を吹き出しその場に倒れた


「は〜い、終わり〜。私が最強だから〜帰ろ〜」

「フェイさん良い加減、バディを破壊するのやめたらどうですか?」

「でもさ〜私の能力にも耐えられないような弱者が私の隣に立つことなんて許されないんだよ〜」


 女性はフェイの後に続く様に部屋を後にしようとするが一つの声に止められる


「勝手に死んだ事にしないでくれる?」

「へぇ〜私の破壊をモロに喰らっても生きてるんだ〜」

「勿論、夢半ばで死ぬつもりは更々ないよ。で、君が新しいバディで合ってるかな?」

「そーだよ〜改めてフェイだよ〜」

「僕はアニータだよろしく」


 今度こそ二人は平和的な握手を交わし暫くフェイとアニータは互いを知るために自身の趣味嗜好を話していく。


「二人とも戦闘訓練の時間になりました。バトルルームに向かいます」

「はいは〜い」

「分かりました」

 


 バトルルームの巨大な扉の前で二人は談笑する


「さ〜てと今回は何秒耐えられるかな〜っと〜」

「まるでフェイちゃんが勝てような物言いだけど?」

「ご冗談〜私は強いからね〜負けないよ〜」

「奇しくも同意見だ」


 そして、ブザーが鳴り響き目の前の扉が勢いよく開き二人は中に入っていくと正面からも少女が歩いてきた。


「一対二って舐められてるのかな〜」

「油断は禁物だよ。じゃ、作戦通りに」

「りょ〜かい〜」

「(ニコニコ)」


 二人の対戦相手である少女はニコニコしている。二人は少女に底知れぬ不安を感じ額には冷や汗がつたり固唾を飲み込んだ


『始め!』


 開始の宣言がされたのと同時にアニータは駆け抜け放った斬撃で少女を切り刻み、そこに追い打ちを掛けるようにフェイが自身の魂幻術を発動し少女にトドメを刺す。その間1秒にも満たない


「よ〜し、勝った〜」

「うん、でも気味が悪くない?」

「だいじょ〜ぶ、確実に破壊したから〜解散解散。返り血はやく落としたい〜」


 フェイとアニータは出口に向かって歩き出す


「ゴフッ‼︎」

「フェイちゃん‼︎」


 突如、フェイが吐血し倒れた。咄嗟にアニータは自身の能力を発動しフェイの受けたダメージを治療し、フェイを叩き起こす


「あ〜ごめんごめん〜・・・・油断した」

「大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫」


 恨めしそうに少女を睨み付けるが依然としてニコニコしているだけだ。二人と少女には互いの情報は開示されておらず互いの名前すらも知らない・・・・だが、フェイは再び玉砕覚悟の特攻攻撃を仕掛ける


「回復は頼んだよ!アニータ」

「分かった!」


 フェイは少女の胸に触れるが少女は避ける動作すら見せず、直に攻撃を受け吐血する。血がかかった瞬間にフェイは血液を破壊しの効果を担う血中魔力も破壊する。すると少女は縋るような瞳で全身から血を吹き出して死亡した。


「フェイちゃん何したの?」

「か〜ん単なことだよ〜彼女は自分自身のマイナスを相手に押し付ける能力を持ってるんだよ〜それに気付けたのはアニータの斬撃だよ」

「僕の?」

「そ〜だよ、私の魂幻術ハカイは押し付けられたけど、斬撃による擦過傷は押し付けてこなかった。厳密には出来なかったが正しいかな〜」


 フェイは死体に更に攻撃し念押しと呟き追加で攻撃し終えるとアニータの手を引き、その場を後にしようとするがフェイの胸を小さな手が貫いた


「フェイちゃん・・・・・」

「残心って知らないのかな。“押し付ける能力”は正解かな〜でも、不正解」

「キサマッ!」

「よっと♪」


 少女は赤いカッターナイフでアニータを切り刻み、その勢いのまま上半身から下半身にかけて容赦なく切り裂き。よろけたアニータの頸動脈を突き刺し、最後に頭部を複数回刺す


「貴方には追い打ちかけられたからね」


 そう言うと少女はフェイの右頬を切り裂き脳天にカッターを突き刺し刃を折りその場を後にした。



 あの戦いからフェイとアニータは一緒に行動するようになっていた。あのバトルルームは退出すると”死亡“という事象を消去されるため二人は健康そのものだが、あの一件から二人は度重なる戦闘で心が病みはじめていた

 

 特にフェイに関しては一度、自身の能力で自身を殺そうとしたがアニータは自身の能力でフェイの記憶を封印した。だが、記憶は思い出せずとも魂が苦痛を覚えているのかフェイの容態は回復の兆しは見えなかった。

 だが、彼にも人生の転機が訪れる。世界中にある学園から代表者一名を選抜し、世界最強の人物を決める大会の決勝戦にて世界最強の男と闘うことになる・・・・・







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