第二章 加速する違和感
■自室?_少女?/??/??/????■
「や、やたろう?」
「違う、ヤタァㇿ」
上から覗き込んでくる少女(だと思いたい)に問いかけると聞き慣れない発音で返される。英語が空耳で聞こえたりするあれだ、やたろうにしか聞き取れないんだが…。
「え、ええと…」
まずは現状把握に務めるしかない。俺は腹筋だけで上半身をあげ…あげ…あがらない!?
一瞬パニックに陥る。
と、とにかく焦らずに行動しないと、無駄な時間を過ごす余裕は俺には無いんだ。
目をつむり深呼吸を一度行う、落ち着いて今の状態を再確認するんだ。
目を見開くように力強く開ける。
俺の胸の上に跨って…俺を覗き込んでいる喪服ワンピース姿の少女がそこいた。
これは夏の喪服だろうな、生地が薄い…。
いやいや、そうじゃないだろ?!
「あのう、退いてもらえませんか」
「…」
相変わらずの無言は俺の知っている相手だという事を確認するには十分だった。
少女の長い黒髪が俺の眼前で揺れ、なんだか甘い匂いがする。透き通るように白い肌は出会った頃の青色からは想像もつかない程に美しく感じる。
俺が次の言葉を発するのを察してか、少女は無言で俺の上からのき直立する。
それまで重さをまるで感じなかったのだが、上半身をあげる時だけ力をかけられたのか?
…なんだなんだ、俺は知らないうちに何か取り返しのつかない方向に進んでるんじゃないか?
心臓の音が聞こえそうな程に鼓動を感じる。
平静を装う事がかなり苦しい。
俺もまず立ち上がる。
何故かベッドの上だった事に気付いた。
枕元にはポッキーが散乱している、少女?が食べたのかもしれない。
一体今は何時なんだ。まずは時間を確認する事にする。
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