■アパート_ベッド/11/12/01:30■

 俺は悩んだ。


 この突っ伏している少女をどうするべきか。


 ひとまず、この危険な割りばしを除去するべきではないのか?無意識のうちにこれで怪我をする恐れがある。


 俺は自分にそう言い聞かせてまずは割りばしを除去することにした。


 右手で強く握られた割りばしは肌に食い込んでいる。


 寝言からもそうだが、非常に嫌な悪夢でも見ている可能性はある。


「くッ…これは指を一本ずつ開かないと無理なんじゃ…」


 割りばしを引き抜く事を諦めた俺は、仕方なく少女の指に手を伸ばした。


 バチンッ!!!!


「痛ッタぁッ!?」


 少女の指先から俺の指先へ静電気が走った。

 今まで経験したことの無い痛みをともなった静電気だ。


「ん…」

「あ、お、おはようございます」


 目覚めた少女との顔の距離が近い。


 長いまつ毛の奥から深い蒼の瞳が虚ろにこちらを覗いている。


 俺は思わず敬語になってしまった。


「コタツで寝ると風邪ひきますし、疲れも取れませんよ?良かったらベッド使いますか?」


「ん…」


 寝ぼけ眼をこする少女はモゾモゾとコタツから抜け出してベッドに倒れ込んだ。


 まさにおやすみ三秒、既に少女からスヤスヤと寝息が聞こえる…


「あれ?これって…」


余計にまずいのでは…






 

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