■アパート_寝室/11/12/01:20■

 ええい、これ以上悩んでも仕方がない!


 俺が家に招いたのは、家出少女なのか少年なのか。それでもって一番大切な年齢…そろそろハッキリさせよう、男らしく。


 俺は何もやましい気持は持っていないし、何も手出しをしていないのだ。


 俺は意を決して寝室のドアをノックする。


「…」


 やはりと言うべきか、返事は無い。


「開けるよ?」


 恐る恐るドアを開けて中を覗くと少女がコタツの上に突っ伏していた。右手には割りばしを握りしめている。


 えぇ!?

 具合でも悪いのか!?食べ物が悪かったか?


「ど、どうした、大丈夫…ですか?」


 年下の子供と接した事が無いので、どんな口調にすれば良いか混乱する。接客では丁寧語ですませていたが…。


 俺の問いかけはまたも無視されている。

 もしくは見た目通りで意識を失っているかだ。


 俺はこの見事な艶のロングヘアの主をどうすれば良いのか。


 ひとまず近付く事にする。


 うどん鉢は見事に空になっていたのだが。見た事がない状態になっていた。


「…何だこれ」


 うどん鉢の中にポッキーが積まれている。

 この形…六芒星?


 うどん鉢で円を描き、ポッキーで…まさか?

 いやいやいやいや!ないない!


 俺は何を考えているんだ。

 こんなもの子供の悪戯ではないか。


 気を取り直して突っ伏している少女を確認すると顔が見えない。


 正直たとえ美少女だとしても今の状態はかなり怖い。


 触れる事は法律で罰せられる可能性があるという理由もあるが、単純に怖いのだ。


 あーもう、どうすりゃいいんだ。


 苦悩で頭が爆発しそうになっていた時、ふと声が聞こえた。


「おか…あさん…にげ…て」


 どうやら少女は生きている様だが…不穏な寝言だ…。


 俺は何者かに追われている可能性がある、何者かを招き入れてしまったようだ。



  

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