第2話 mystery

「ぅっ……ここは……?」

気づいたら自室のベッドにいた。

重い身体を起こす。

「いつの間にベッドで眠ってたんだ俺」

「……そうだ、確かカメレオンの化け物と戦ってたんだ」

「そしてあの化け物はアニマって名前で……」

「あーダメだ整理がつかない」


「おはよう」

「えーっと……ちょっと纏めるか……」

「……おはよう」

「あの時化け物を探してた男と綺麗な女の子とカメレオンの化け物と……」

「おはよう!!!」

「うわっ!!なんだ?!」

「さっきからずっとおはようって言ってるじゃない!なんなのよ!」

「ごめん!……ってなんで俺の部屋に君がいるんだよ!」


「いいじゃないそんなこと」

「いや、良くない!そもそもどうやって入ったんだ!?鍵はちゃんとかけておいたはずなのに」

「まあまあ」

「…それよりあの化け物達について知りたい?」

「俺が戦ったカメレオンみたいなやつの事?」

「ええ」

「……知りたい」

「そしたら教えてあげるわ」

「案外素直に教えてくれるんだ……」

「はいはい。まずあいつらはアンタも見た通りカメレオンの姿をした奴だったわけだけど」

「あれって本当にカメレオンなのか?」

「違うわね、カメレオンの形をしてるけど全然違う」

「……そうか」

「あれの正体は人間よ」

「?……え……?に、人間……?」

「そう、人間の魂を核にして作られた人形みたいなものね」

「じ、じゃああの化け物達は元々は人だったのか!?」

「……そういうことになるわね」

「まず人は死んだ時に魂になる」

「その魂はバイパスと呼ばれる道から白の世界に辿り着き新たな命に転生するかそのまま浄化される」


「だけど魂がその道を通る時に黒の世界から影の操り人形(シャドール)と呼ばれる人形が魂を奪ってアニマと呼ばれる化け物に変えてしまう」

「……」

「大丈夫?」

「あ、ああ……。続けてくれ」

「……続けるわね」

「……そしてアニマは人を襲う」

「理由は分からない、人形側がそうさせているのかアニマ自身の意思で人を襲うのか」

そこまで聞いて頭が重くなってくるのがわかった

色々な情報が入ってきて整理がつかなくなってきている

だが気になった事があった

「ちょっと待ってくれ」

「どうしたの?」

「君はどうしてそんなことを知ってるんだ?」

「……」

彼女は何も言わない

そこからしばらく沈黙が続く

「……分かった、話したくないなら大丈夫だ」

「でもこれだけ教えてくれ」

「君の名前は?」

「え?」

「そういえば名前聞いてなかったから」

「俺の名前は藍場蒼樹(あいばそうき)」

「……坂根ツユ(さかね)よ」

「坂根さんか、よろしく」

「ツユでいい」

「え?」

「だからツユで良いって」

「わかった、ツユ」

そこで握手を交わした

握ったツユの手がとても冷たかったのが印象的だった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る