プライドの記憶
埋罪
第1話 LOST
いつからだろう。
人に興味がなくなったのは、
幼い日、友達と遊んでいたとき、友達が僕にこう言ったんだ。
「ねえ、なんでそんなに笑わないの?」ってね。
僕はその時、何て答えたか覚えていないけど、たぶん何も言わなかったと思う。
それからだろうか?人が信じられなくなったのは……。
いつだって、人はそうだ。自分のことしか考えていない。
僕もそうだ。他人なんてどうでもいいと思っている。
ただ、それだけだ。
だから、僕は一人でいい。
僕はいつも通り学校に行くための準備をしていた。
「いってきます」
誰もいない家にそう言って家を出た。
いつも通りの道を歩いていく。すると後ろから声をかけられ
「ねぇ、これ落とさなかった?」
「え?」
振り向くと、一人の少女が立っていた。
その少女が持っていたのは、僕の学生手帳だった。
「あ……ありがとうございます……」
そう言うとその少女は笑顔になり、
「いえいえ、気をつけてね」
と言って去っていった。
僕は学校に着き教室に入ると、ある異変に気付いた。
(なんだか騒がしいな)
僕は特に気にせず席についた。
「今日、転校生が来るらしいぞ」
「どうやら、めちゃくちゃかわいいらしいね」
そんな話が聞こえてきたが、僕は興味がない。
キーンコーンカーンコーン♪ チャイムが鳴ると同時に先生が入ってきた。
「おーい、お前ら座れ~」
みんな慌てて席につく。
「よしっ!じゃあホームルーム始めるぞ!」
いつものように連絡事項を話始めた。
そしてホームルームが終わると同時に
「みんな伏せて!!!」
どこからか声がしたと思った瞬間、爆発音が響き渡った。
爆発音と共に教室の中はパニック状態になっていた。
しかし、僕は冷静だった。
僕は机の下に潜り込み、周りの様子をうかがっていた。
すると、いきなりドアが開き銃を持った男たちが入ってきて、
「あれ、ここじゃなかったか???」
連中の中にいた2メートルはあろう大男がそう呟いた。
すると今度は、別の方向から爆音が鳴り響いた。
「うわぁああああ!!助けてぇええ!!!」
突然、悲鳴が聞こえてきた。そちらの方を見るとそこには、
さっき話しかけてくれた女の子がいた。
その子は腕から血を流していた。
おそらく何かから逃げてきたのだろうか。その顔は恐怖で歪んでいた。
「ピポポポポポ。。。」
教室の外から、謎の音が聞こえる。
僕はその音の方に目をやった。
するとそこにいたのは、見たこともない生物だった。
それは、大きな体に赤い目、全身を硬い甲羅のようなもので覆われており、手足には鋭い爪があった。
まるでカメレオンのような見た目をしている。
「ピポッ。。オオオオオオ‥‥!」
そいつが音を発すると
「うわっ!ッ‥‥!!グギギギギギギ、、、」
教室に入ってきた男の一人が苦しみ出した。
よく見ると首筋あたりから血が出ていた。
それを見た男は倒れた。
(まさか、こいつ毒ガスでも吐いてるのか?)
そう思った矢先、他の男も次々と倒れていった。
教室内は阿鼻叫喚となっていた。
そんな中、僕はただじっとしていた。
(僕は、、、死ぬのか・・・?)
せいぜい17年しか生きていない。でも、こんなところで死にたくない。
「手を伸ばして!!」
ふと声がした。
すると、
その刹那
あたりが光につつまれた。
「あれ?あの化け物は・・・!?」
「あなた、私に協力して。」
「え?」
目の前にいたのは、先ほど助けてくれた少女だった。
「お願い!時間がないの!!」
そう言うと少女は、何か機械を僕に手渡し矢継ぎ早に叫ぶ。
「私の言う通りにこう叫んで!」
「プライド・アクセスって!」
「わ、わかったよ、プライ、、、なんだっけ?」
「ぷ・ら・い・ど・あ・く・せ・す!!!もう、一回で覚えて!!」
「ごめんって。えー、プライド・アクセス!!!」
すると体が何かに吸い込まれるような感覚を覚えた。
気づいたときには、先のカメレオンの化け物が眼前に迫ろうとしていた。
「うわああああぁぁぁぁああああ!!!!!」
僕は、恐怖のあまり思わず右手を振り上げた。
右手には奴の感触、
(だめだ。。。もう殺される。。。あれ?僕の右手は?まだある?)
恐る恐る目を開けると、奴ははるか先で伸びている。
「何がどうなってるんだ?」
「おめでとう!アクセスコンプリートね!」
「は?なんて?」
「だから、アクセスよ。あなたの中に眠っていた力(プライド)を解放したの。」
「はあ。」
僕はいまいち状況が飲み込めず混乱していると、
「あとはあいつを倒すだけね。」
「え?倒すの?」
「当たり前じゃない。倒さないと・・・周りを見てみて」
(周りって?え、なんだよこれ・・・?)
そこは逃げ遅れたクラスメイトたちの変わり果てたすがたで埋め尽くされまるで地獄そのものだった。
「あれを倒さないともっと犠牲者が増えるわよ。あなたは黙ってみていられるの?」
「うっ、、」
確かにこのままではまずい。でもどうすればいいかわからない。
「どうしたらいいと思う?」
「あなたがやるしかないんじゃない?」
「え、俺が?」
「そう、あなたが。」
「無理だよ。あんな化物相手に……」
「……右手に水晶みたいなのがあるでしょ?」
「それに触れなさい」
「どうなるんだ?」
「触れれば分かるわ」
「……わかった」
右手には群青色の水晶のようなものが埋め込まれていた。
それに触れた瞬間、体から力が湧き出てくる感覚を覚えた。
「こ、これは?!体から青い光が……それに力が……!」
「それが、あなたの能力(プライドアビリティ)よ。」
「力を解放した状態で、あの化け物に攻撃しなさい」
「わ、分かった。やってみる!」
「うおおぉぉおお!!」
僕は全力で駆け出した
走るスピードはどんどん早くなり
カメレオンの化け物に拳を突き出す
僕の拳が化け物に触れると体がくの字に曲がり化け物が吹っ飛び壁に激突した。
「ピポ……ボボポ…ビ…ゴ」
ギュゥゥゥゥン……シュボボボボ……
化け物は燃えている。
「た、倒せた……?」
「……ええ、これでこのアニマは死んだ」
「アニマ……?アニマって………………」
……ドサッ
ここから先の記憶はもう無い。
………………
プライドってなんなんだ?
アニマって?
クラスのみんなは?
あの少女は?
そしてこれから僕の世界、僕達はどうなってしまうのだろうか?
遠のく意識の中少女の悲しそうな顔が見えた。
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