第26話 ラプトル族襲撃【3】
左右からの波状攻撃に、攻撃の無い中央をラプトルが逃げて来た。
最初のラプトルは、矢が無数に刺さっていた。
前衛先頭に居たロックが短槍を一閃、ラプトルの首が転がり首無しで10歩程進んで絶命した。
「小型でも流石恐竜だ!しぶといな」
次のラプトルも無数の矢を気にもしない様子で走って来た。
「やぁぁ!!」
今度も先頭に立つロックが気合一閃、ラプトルの首を跳ね飛ばした。
余裕対応はそこまでだった。
全身に矢を立てたラプトルが20匹程向かって来た。
ロック達前衛のモロスが善戦するも、抜けるラプトルが出てきた。
シルクが目に止まらない一撃「そいぃ!!」シルクの大剣がラプトルを両断していた。
シルクってこんな戦い方するんだ、凄いなぁ!
横目で見ながら、投げ槍を投げず心臓の位置を突き刺した。
相手の突進力、青銅の槍の威力、両方の相乗効果でしょう、私の手元まで突進したラプトルは息絶えた。
突き抜けた槍をラプトルの背中から抜き取った。
「うぇえ!血で
次々と矢の刺さったラプトルが逃げてくる。
アイオン達弓名人達でも、固い鱗で威力が弱まり致命傷にならない。
一万を越える猿人達の弓は小型で、青銅の矢尻でも致命傷与える事が出来ない。
「誤算だった!」
今回一番役に立ってるのはシルクとモロス達だ。
モロス200の参戦が無ければ、惨敗してたかも。
今後は弓使いも含め、全員に大小問わず青銅の剣を装備させないと。
私も剣の戦い方
って、ぼーーっとしていた訳じゃないよ!
皆の戦い方観察してたの…ぼーーっとしてた、とも言うか?
ロックやモロス達が頼もしい!!
「ラプトルの死骸106匹確認した!!このまま西の果て大地に向かって進軍!!」
進みながら「猿人達戦いは終った!!ご苦労であった!!」と叫んで誤射防止に励んだ。
呼び掛けに猿人達も合流して来て、大部隊の進軍になった。
西の果て大地に到着、私は初めて来た。
ここまで一万以上が目を光らせて居たが、ラプトルは居なかった。
「殲滅させたようだな…」
「大族長様ラプトル族の巣があります」
2匹ラプトルが飛び出て来た。
偵察してくれていたモロス達が首を切り落としていた。
「巣の中にもメスが1匹いました」
「3匹のメス達は玉子を守っていたようです」
枝を組んだ巣の中に入ると、玉子が5個それを守るように抱えて死んだラプトルのメス。
子を守る母親を哀れに思う、さぞ無念な気持ちだったでしょう……同じ女としてやるべきで無かったかも知れない…だが多くの一族を率いる長としてお前達を見逃す事は出来なかった…許して…。
「生きる為の狩りなら見逃してやったが、楽しみで無駄な狩りをしたお前達を見逃す事は出来ん!!」
「大族長様、玉子を割って終りにします?」
「…そうだな…いや!持って帰る…孵化させて刷り込みやってみる」
孵化して最初に見た者を親と認識する刷り込み、上手く行けば良いが。
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