第3部 建国への道

第24話 ラプトル族襲撃【1】

 恐竜の谷に流れる川のほとり、川原の住まいに近い環境との事でモロス族の住居は池のふちに粘土と枯れ木草を使った独特の巣を作成して住む事になった。

 総勢220人、力の強いモロス達は全種族に毎日水を運搬し食料の謝礼を貰う事に加え、池の魚を捕らえ物々交換する事で順調に地位を築いて行ってる。

 生魚や生肉を食べるので無く、調理も指導を受け食生活も一新して居る。


 生活基盤が整い、ヤマト族猿人族との暮らしが慣れたころ、ロックが願い出て来た。

「大族長アミ様!モロス達が使える武器を与えて下さい」

 言われてロックの腕を見た。

 力は強いが短い腕、骨格の関係で背中に手が届かない。

 振りかぶる事が出来ない腕では、革紐投石は無理、投げ槍も無理だろう。

「困った、考えておく…暫く待ってくれ」



 私が考えても良い考えが浮かぶ訳が無い「スミスに要相談だな」

 熱気溢れる鍛冶場スミスは弟子の指導で忙しくしていた。


「スミス忙しい所悪いが相談に乗ってくれ!」

「あぁ良いですよ、皆!休憩にする!」

 最近全種族でブームの、笹の葉を火に炙った物を煮出す『笹の葉茶』を飲みながらスミスに言った。


 ※これ簡単で美味しいです、熊笹が手に入る方お試し下さい。


「実はモロス族の依頼で、身体に合った武器が欲しいと言ってきた」

「簡単ですよ!あの身体に腕なら、これを使わせれば良い」

 70㎝の柄に30㎝の諸刃の短剣を取り付けた、100㎝の短槍たんそうをスミスは渡してきた。

「150㎝の身長に短いリーチのモロス、この短い槍なら上手く扱えそうだ!同じ物どれくらいある?」

「今の所200本です、使い方指導も含め弟子を4人派遣します。ヨダ、ロイ、リヤ、カム、槍を持って行ってモロスに使い方指導してこい!」

「「「「はい!師匠!」」」」



 ヤミの土器グループが日干しレンガを素焼きし、建築用レンガを増産猿人達の協力でレンガ造りの私の立派な家を建ててくれた。

「アミ大族長!この家なら大族長の住まいとして、恥ずかしく無いでしょう!」

「ヤミ!立派な住まいありがとう!!」

 あの嫌みヤミの面影が全く無くなって、立派な技術指導者になってくれた。


 素焼きレンガで無く、日干しレンガでだがジャワやペキ、クロやゲンジ達猿人の酋長達が、レンガの家を建築し始めた。


 順調に発展して行く大集落、岩塩を発見したゲルゲが異変を知らせてきた。

「大族長!てぇへんだ!アミ大族長が言ってた恐竜が襲って来るぞ!!」

「ゲルゲ詳しく!」

「西の最果て大地の裂け目の外れ、モロス族が上がって来た所から、似た恐竜が登って来た!恐竜凡そ100が集結中だぁ!!」



「ロック!君達が登って来た所から、モロス族に似た背格好の恐竜が登って来て、こちらを襲撃する兆しだ!相手は何者?」

「ラプトルでしょう、バカで会話は出来んが群で狩りをする狂暴な奴等だ」

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