第22話 モロス族
翌早朝スツル族調査遠征隊が西に向かい出発した。
メンバーは私にシルク、ジャミにヤミ、弓狙撃隊隊長アイオンと精鋭5名の10人。
アイオンじいちゃんは百発百中の弓名人になってる、その弓名人のお眼鏡に叶った精鋭ジイチャンバアちゃん狙撃隊員、経験豊富で遠目が利く六人の頼れる大先輩達だ。
こん棒で叩き潰す豪傑シルクに、ジャミとヤミは弓も上手いが革紐投石が随分巧みになった、心強い仲間だ。
同行希望者が続出、酋長達も同行を希望して来たが大軍で威嚇するのは今回愚策と考え、少数精鋭での探索となった。
危険も無く気楽な旅は会話が弾む。
「狩りはのぅ、的に槍をブチ当てるのが上手い奴に限って妙に下手だったりする」
「獲物を沢山狩る者は非力でも、草や木と一体に成れる者じゃ」
「草や木と一体になる方法は、目を閉じて呼吸を鼻から10数えながら吸って、口から20数えながらユックリ吐く」
大先輩の教え、気配を消す方法は有り難い、極端流空手にも同じ様な呼吸法があった。
出来ればこの遠征中に得とくしたいものだ。
そんな感じで何事も無く3日めの夕方、アスカ族のテリトリーだった所で野営する事にした。
運良く野牛が狩れたので牛肉の塩焼きを晩飯にする。
「スツル族に接触しても良い頃だ、旨そうな匂いに釣られて出て来るかも知れん、皆辺りに注意しながら食ってくれ!」
最初こそ辺りに注意して居たが、牛肉の塩焼きの旨さ!つい食うのに夢中になっていた。
「もし!私達にも肉を分けては貰えんでしょうか?」
突然声を掛けられて驚いたが、穏やかな問い掛けについ即答してしまった。
「あぁ肉は食いきれん程ある、良かったら一緒に食わんか?」
無意識に、元日本人独特のお人好しが発動した。
言ってから相手を確認すると、人では無かった。
(あれっ?これスツル族?)
「おっ初めましてだな、私はヤマト族族長アミ!猿人を束ねる大酋長アミでもある」
見ると聞くでは大違い、恐ろしいと聞いたスツル族は巨大でも狂暴でもなかった。
「初めまして、大酋長アミ様!私はモロス族リーダーのロックであります」
丁寧な挨拶をするロックは、150㎝位の鱗で無くフワフワの毛に
「モロス族?スツル族では無いのか?」
「スツル族とは?聞いた事が有りません、私達はモロス族です竜の住む裂け目から逃げ出して来ました」
「話は後でゆっくり聞く、取り合えず肉を腹一杯食ってくれ」
焼けた肉に塩をパラパラ、32人のモロスに次々渡してやった。
「「「「「うっ旨い!!」」」」」
「「「「「旨ぁい!!!」」」」」
「肉のこんな食べ方は初めてです、旨い」
味覚と言うか旨味にかんしては、小さな恐竜達も私達と同じように感じるようだ。
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