第18話 謎の金属

 普通の焚き火で、1000度以上の融点の銅が、溶ける事は余り無い。

 だが、錫が混じった銅(青銅)は、融点が800度位に下がる。

 焚き火で十分溶ける金属だ。

 溶け易いのに、元の銅より固い金属の青銅、青銅器文明は必然的なものだった。

 アンモニア等で、表面処理したブロンズと違い、素の青銅は美しい黄金色をしている、見た目の格好良さも、当時の権力者に受けた様だ。


 条件が良かった様で、焚き火の跡は一面煤けた金属が固まっていた。

 アミは煤けた表面を、指でゴシゴシ擦ってみた。

「ヤッパ金だ!!」

 ヤミのグループが、素焼き土器の為、高温になる様工夫した為、銅鉱石から抽出出来たようだが、アミに知識は無い。

「金は鉄とかより低温で溶ける!うん!大量の金だ!!」


 と言う事で、金と信じてる小さな塊を、石で叩いて装飾品に加工しようとした。

 石が砕けた。

「あれ?石斧が砕けた?金ってこんなに固かった?

 そうか!純金じゃ無く混ざり物の多い14Kとかなら固いか!」


 青銅です、鉄のハンマーなら加工出来るでしょうが、石では無理、折角の青銅良い武器が作れるのに、金と信じてるアミ族長の為、青銅器文明は暫く後になりそうだった。


 ただ一人、好奇心の塊の様な少年の行動が、人類の進化を促せた。

 族長の行動を、じっと見ていたスミス少年は考えた。

「石斧より固い物、ならば同じ物を打ち付けたら形を変えれる?」

 手頃な片手で持てる金属の塊で、端に転がってた細長い金属を、部厚い金属の上で叩いた。


 少年の行動は、金床の上で金属を、ハンマーで叩くのと同じ結果になった。

 元々石器短剣に似た形の金属を叩き始めたので、剣の形に直ぐ出来上がった。

 スミス少年は、握り難い柄に革紐を巻き、見事な短剣に仕上げた。


 それを見ていた、ジャミとヤミ、小さな塊を叩き矢尻を多数拵え、青銅の矢を作ってみた。


 スミス少年の短剣は格好いい、スミスやジャミ達のガンガンウルサイ作業を見ていた男達が、競う様に武器を作り出した。


 アミの知らない所で、青銅武器が大量に出来上がって行った。



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