いじわるな先輩の隣。

アイスの森

第1話 先輩のいじわる。

ーカタ…

誰も来ない,少し埃っぽい空き教室に私は足を踏み入れる。

「先輩…?」

薄暗い教室の奥の床に,先輩は足を開いて座っていた。

寝てるのかな。

私はタッと近づいて,目の前にしゃがみこむ。

綺麗な顔…

私がここに来るのは毎日のルーティーン。

他でもないこの人に,誘われるから。

お気に入り,なんて周りには呼ばれてるけど,よく分からない。

ただ隣に座っているのが,私の仕事。

じっと先輩の寝顔を見つめて,私は先輩の高い鼻をつんつんとつついてみた。

すっとほっぺを指先で撫でると,人形みたいに綺麗。

ぱちり。

先輩が目を開けた。

私は驚いて,声も出ない。

「あの,せんぱ…」

「ね,異性の顔に触れるとか,もっと近づきたい時だけだと思うんだけど」

驚いて反った私の腰と手首を掴まえて,先輩は私を押し倒す。

「俺と,そーゆー関係になりたいの?」

そして,くすくすと笑った。

「お,お断り…します」

振り絞った声は震えて,私を起こした先輩はまた笑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いじわるな先輩の隣。 アイスの森 @aisunomori

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ