第34話 ガイアナのダンジョン

ルームキューブで数日休んだ後、ガイアナに向かうため、ライルたちはワールドパスポートに移動した。


ルシアが施設メイドのデーに話しかける。


「ガイアナのダンジョンの89階のフロアボスの手前のセーフティゾーンまでお願いね」


今回は前回の経験を活かして、ラスボスの手前に移動することにした。


『かしこまりました。接続しました。どうぞ』


施設から外に出るとセーフティゾーンだった。


「これって、冒険とは言えないよね」


メリンダの言葉に皆同感しているようだが、ライルはちまちま魔物と戦うのは御免だった。


「メリンダ、ボスの確認に行くぞ」


ライルとメリンダはすぐに戻ってきた。


「みたことのない魔物だが、自分で名乗っていた。魔物のくせに喋るんだ。『アンデッドの王』というらしい」


「じゃあ、私の出番ね」


ルシアが腰を上げた。


「そうなんだが、相手は青い顔をした30代ぐらいの男だぞ」


ライルが嫌そうな顔をした。


「え? そうなの?」


ルシアも少し嫌だなあって顔をする。


「姉さん、私たちでやっつけようか?」


ルミエールがルシアに確認したが、ルシアは首を横に振った。


「格納しておいた方が使い用があるかもしれないから、私がやるわ」


「俺もあんなやつにルシアを見られたくないが、仕方ない。今回は全員で行くぞ。みんなでルシアを出来るだけ見えないように隠してくれ」


「「「「わかったわ」」」」」


六人はボス部屋に入った。


アンデッドの王がうつむいていたため、ルシアの裸を見ることなく格納されてしまった。


「相変わらずあっけないわね」


メリンダたちももう慣れたものだ。さっさと地下90階への階段を降りていった。


「ルシア、どうした?」


「ライル、私、自分のルーツを知るのが少し怖いの」


「そうか。でも、どんな結果であろうと、俺のプロポーズは受けて欲しいな」


「うん、ありがとう、ライル。私、あなたに出会えて、本当によかった」


「俺もだよ」


「ライル」


「ルシア」


「あのう、早く降りてきてくれますか? 姉さんいないと先に進まないんですよ」


ナタリーがひょっこりドアから首を出して、二人を急かした。


二人は仲良く手を繋いで、地下90階に降りて行った。


地下90階は町の廃墟だった。階段の場所から石畳の道が真っ直ぐ伸びていて、左右は瓦礫の山だったが、突き当たりには大きなきれいな白い建物が建っていた。


「ルシア分かるか?」


ライルが起動装置のありかをルシアに聞いた。


「ええ、建物の入り口にあると思うわ」


ライルとルシアは手を繋いだまま、石畳の道を白い建物に向かって歩いて行く。


メリンダたちも後に続いた。


白い建物の入り口あたりのルシアの肩ぐらいの高さに、くぼみが二つあった。ルシアは左側のくぼみに触れた。


建物が白く輝き、次第に輝きが消えていった。ルシアは右側のくぼみに触れた。建物に扉が現れスライドした。


六人は中に入って行った。


ここは図書館のようだった。正面に受付カウンターのようなものがあるが無人だ。


建物内は三階建てになっている。六人の立っている場所は吹き抜けになっており、一階、二階、三階に書棚が整然と並んでいるのが見えた。


受付まで歩いて行くと施設メイドが話しかけて来た。

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