第9話 大フィーバーで大混乱!?凛とみんなの夏休み!(9)
「ほら、カンナ!着替えたんだから、観念して顔出せ!」
「ちょ、やめろ!秀!あたしは別に~!」
「気にしてないなら、凛道蓮に姿を見せてやれ!」
「あ!?」
強引に言うと、自分の背後にいる人物を押し出す秀君。
それで姿を現したのは・・・・
「カンナさん?」
「お、おう・・・!」
最初の友達である高千穂カンナさん。
いつもとは違う彼女がいた。
髪を1つに結い上げ、可愛いかんざしを挿していた。
赤い生地と黒の帯が目を引く、浴衣姿のカンナさんだった。
「カンナさん、可愛い!!」
感じたままに言えば、彼女の頬も赤くなる。
「なっ!?ば、ばっきゃろー!大声で言うなよ!」
「あ、ごめんなさい。・・・・カンナさん、可愛いです。」
「って、小声で言い直すな!?言うなよ!」
「だって、すごく可愛いから。」
「ば、ばか!大きなお世話なんだよ・・・!!」
彼女の態度に、照れているのだとわかる。
小さく笑えば、私をにらみながら近寄ってくる。
「何がおかしいんだよ、テメー!?」
「いえ、本当に可愛いと思いまして。お母さんに着付けてもらったんですか?」
「なわけあるか!大河のおふくろさんが無理矢理~!」
「へぇー麗子さん、いい仕事しますね~とても似合っていますよ。」
「む、無理すんなよ!ガラじゃねぇのは、わかってんだからよ!」
「そんなことないですよ。可愛いですよね、モニカちゃん?」
「凛ちゃん、大正解♪高千穂ちゃん、本当にキュートよ♪」
「え!?そ、そうすか、モニカ先輩・・・・?」
「当たり前じゃない!こんなカワイイ後輩がいて、あたしも鼻が高いわ~」
「そ、そんな、おおげさっすよぉ~モニカ先輩!」
オシャレ番長のモニカちゃんにそう言われ、口をへの字にしつつも、眼光からはその鋭さがなくなる。
機嫌の良くなるカンナさん。
(カンナさん、照れてるのね・・・・可愛いな~)
こういうところが女の子らしいと思う。
〔★凛も女の子だ★〕
「モ、モニカ先輩こそ、今日は女子力高いっすよ。」
「やーね、今日も女の子らしいって言ってよぉ~時間かけたんだからぁ~褒めて褒めて!」
「最高っすよ!」
「ありがとう~!でもぉ~こんなことなら、凛ちゃんの着付けと一緒に高千穂やんもデコればよかったわぁ~」
「は?凛の着付け?」
その言葉で、カンナさんの表情が変わる。
「着付けってどういうことだよ、凛?」
「はい。今日の浴衣、モニカちゃんが着せてくれたんです。」
「・・・・なに?モニカ先輩に聞つけてもらった・・・?」
「そーなのよん!凛ちゃんの腰細くてぇ~密着できて気分はアゲアゲ♪」
「ほぉ~!?モニカ先輩に手とり足取り着せてもらったのかっ、凛・・・・!?」
「え?」
モニカちゃんの話を聞き、突然機嫌の悪くなるカンナさん。
「テメー・・・着せてもらったのか!?ベタベタしたのか、コラ・・・!?」
「カ、カンナさん、怖い怖い!」目を座らせながら言う姿は鬼姫らしい。
〔★カンナの目力、凛に利いている★〕
「高千穂ちゃん、落ち着きなさいよ!」
「モニカ先輩!凛を甘やかさないでくださいよ!?凛!テメーってやつは!」
「な、何で怒るんですかー!?」
「うっせぇ!後輩パワー全開で甘えやがったんだろう!?それでも硬派か、この野郎!!」
「カンナさーん!??」
「ダメだろう、凛!高千穂を怒らせるな。」
「怒らせるなって、お兄ちゃん!僕、なにかいけないこと言いました!?」
「そりゃあ・・・その・・・たぶん、他の奴とベタベタしたからじゃねぇの?わかるだろう?」
「わかりません!」
〔★今の凛には難しい★〕
瑞希お兄ちゃんの言葉の意味を理解できずにいれば、カンナさんから怒鳴り声が上がる。
「なにごちゃごちゃ言ってんすか、真田先輩!?」
「な、なんでもねぇーよ!なぁ、凛?」
「そ、そうですよ~」
「たくっ!誰にでもいい顔しやがって!」
「高千穂ちゃん、そんな顔しないで!美人が台無しじゃない~ねえ、凛ちゃん??」
「は、はい!カンナさんは和服美人です!」
「誤魔化してんじゃねぇーぞ、ボケ!たくっ・・・もういいよ!阿保くせー!」
「あの、怒ってます?」
「呆れてるんだよ。つーか、いつまで立ってるんだよ、凛!座れ!」
「え、あの・・・」
(好きで立ってたわけじゃないんだけどな・・・)
そう言うとまたもめそうなので、黙ってうなずく。
「ほら、こっち来いって!手間かけさせんなよ!ホント、お前は手がかかるんだからよぉー!」
「ご、ごめんね、カンナさん。」
「おい、カンナ!こういう時は先輩方優先だろう!?」
「わかってるよ、悠斗!」
「そんなに凛君に構いたいのかぁー?」
「黙れ、秀!」
「みっともない真似すんな、オメーら!さあ、瑞希先輩!座ってください!」
「ああ、じゃあ邪魔するぜ?」
円城寺君の勧めで、瑞希お兄ちゃん達初代メンバーがシートに上がる。
先輩優先で、瑞希お兄ちゃん達が先に座っていく。
初代達が腰を下ろしたところで、元総長が言った。
「凛、お前らも早く座れよ。」
「は、はい!ただいま!」
好きな人に手招きをされ、胸が高鳴る。
瑞希お兄ちゃんの隣を狙ったんだけど・・・・
「リンリン一緒に座ろう!」
「え?」
「俺もお側に!」
「ええ!?」
両側から引っ張られ、瑞希お兄ちゃんの隣に行けない。
「ちょ、僕は瑞希お兄ちゃんの隣に~!」
「瑞希先輩、隣失礼します!」
「円城寺君!」
瑞希お兄ちゃんと烈司さんが並んで座っている反対側に・・・・総長代行が腰を下ろす。
〔★場所を取られた★〕
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