第10話 大フィーバーで大混乱!?凛とみんなの夏休み!(10)




またしても、私から瑞希お兄ちゃんを奪う総長代行。




「ズルいですよ、円城寺君!」


「くっくっくっ!早い者勝ちよ!」




舌を出しながら言う円城寺君を、今日ほど憎いと感じたことはない。




〔★大河のドヤ顔、凛には利いている★〕




円城寺君にカチンときたけど、問題はそこじゃない!


このまま、瑞希お兄ちゃんの隣に座れないの!?




「ははは!大丈夫よ、凛たん。俺と瑞希の間においで。」


「烈司さん!」




絶望していたら、救の神が舞い降りた。


瑞希お兄ちゃんと隣同士だった烈司さんが、瑞希お兄ちゃんとの間に、1人分のスペースをあけながら手招きする。




「もちろん、来るのは凛たん1人だけな?」


「あ、ありがとうございます、烈司さん!」




そのまま飛びつこうとしたが。




「はあ!?俺もリンリンの隣がいいんすけど!?」


「俺もです。」




グイ!


「えっ!?」




引き止められる。


左右を固めるイケメンが、移動に反対してきた。


それにヘビースモーカーはニヤリと笑う。




「こらこら。初代の言うことは絶対って言う教えを忘れたかー?言うこと聞けない子は破門だぜ?」


「「くっ・・・」」




大人な対応に、何も言えなくなるギャル男と忍者。




〔★龍星軍の掟発動、長政とつなぐは動けなくなった★〕




「ということで、凛たんから離れたまえ。」


「鬼殺!ルールでリンリンと離れ離れってマジあり得ねぇ!」


「でも、従わないと破門・・・策士ですね、初代の先輩方は・・・!」




そう言いながら、私から離れてくれるちーちゃんとつなぐ。




「ごめんなさい、二人とも!」




口と態度では申し訳なさそうにしたけど、本音は・・・・




(やった!これで瑞希お兄ちゃんのお隣りゲット!)




心の中は大フィーバー♪




〔★本音と建て前は違う★〕




「では、お隣りに失礼しますぅ~」




軽い足取りで、瑞希お兄ちゃんの隣に座ろうとしたら―――――――




グイッ!


「だめよ、凛ちゃん!」




再び引き止められる。




「モニカちゃーん!?」




オネェさんが待ったを入れる。




〔★モニカが乱入した★〕





背後から私を抱き寄せると、頬ずりしながら言った。




「みーちゃんの隣は許せるけど、れーちゃんとみーちゃんの間に凛ちゃんを座らせるのはダメ!あたしも凛ちゃんの隣がいいから、れーちゃんはあたしと代わってよ!」


「はあ?俺が先に座ってたんだぞ?」




モニカちゃんの言葉にあからさまに不機嫌になる烈司さん。




「女の子に優しくするのが男でしょう?」


「男女平等の社会だろうが?」


「そういうことだ。」




グイッ!


「え!?」




今度は顎をつかまれる。その手をたどって行けば・・・




「教え子に誘われついてきた家庭教師という設定なので、凛道の隣には俺が座る方が自然だろう。来い、凛道。」


「し、獅子島さん!?」




〔★怖い眼鏡も乱入した★〕




「花火を見ながら、化学反応についての話もしてやろう。」


「はの、ほっとぉー(あの、ちょっとぉー)・・・!?」




顎を抑えられ、しゃべれない私を連れ出す怖い初代の先輩。


これに他の先輩方が反発してくれた。




「って!?割り込むなよ、伊織!」


「凛ちゃんは、モニカちゃんの隣でおしゃべりするのよ!?」


「浮かれやすい祭りの場、羽目を外さんように管理してやるのが大人の務めだろう。」


「テメーも凛たんに構いたいだけだろう、伊織!?この天邪鬼!」


「凛ちゃん返しなさい!」


「わははは!盛り上がってきたじゃねぇーか!俺様も混ぜろ!」




ドーン!!


「あう!?」




そう言いながら百鬼が体当たりしてくる。




〔★野獣は通常運転だ★〕




「わはははは!凛助~!酒の相手しな!!」


「こ、困ります!僕は未成年です!」


「わはははは!甘酒は飲めるんだろう~!?付き合えや!」


「この真夏に、ドロドロした物を飲めと!?」


「あん♪モニカちゃん、その姿みたいかもー!いやらしい妄想が止まらなーい♪」


「どんな想像してるんですか!?」


「ロクなものではないだろう。というわけで、やはり俺が管理するしかない。凛道はもらうぞ。」


「待て待て!凛たんは俺と瑞希の間がいいって言ってんだぜ?さあ、凛たんこっちへー」


「だったら!れーちゃんあたしと代わってよ!モニカちゃんとみーちゃんの間に座らせればいいでしょ!?」


「それなら、俺と瑞希の間の方が安全だ。」


「わはははは!それじゃあ俺様と瑞希の間でー!!」


「「「皇助だけは絶対にダメだ。」」」


「な、なんでだよコラッ!?」


(そこだけは、意見が一致するんだ・・・)




〔★みんなの思いは同じだった★〕





思わず感心してしまったが、そんなのん気な場合ではなかった。




「凛ちゃんの隣はあたし!」




そう言って私を正面から抱きしめるモニカちゃんと、




「凛たんを誘ったのは俺だ。」




右手をつかんで離さない烈司さんと、




「凛道は俺が見ると言ってるだろう・・・!?」




左腕を握りしめながら言う獅子島さんと、




「わはははは!凛助ぇ~!!」




背後から猫つまみをしてゆさぶる百鬼のおかげで・・・




「やめて下さい!!凛がもみくちゃになってます!!」


「お助けをぉ~~~~~~~~~~~~~!」




カンナさんの言葉通り、窮屈な状態になる私。




〔★バーゲン品状態だ★〕




「―――――――――――オメーらいい加減にしろっ!!」





その声で、体が自由になる。





「大丈夫か、凛!?」


「み、瑞希お兄ちゃん。」





彼が私を奪い取ってくれていた。




「また凛がつぶれるだろう!?いい加減にしやがれ!」


「なによぉー!自分は凛ちゃんの隣になれるからって~」


「そうだよ!文句あっか!?」



(え!?)



モニカちゃんの言葉を否定することなく彼は言った。




「来い、凛!」




私の肩を抱きながら座った。




もちろん、隣同士!!




「凛は俺の弟だ。俺が隣で管理して何が悪いんだよ?」




(やっ、やったー!)




無事、瑞希お兄ちゃんの隣をゲット!


これなら、心行くまで瑞希お兄ちゃんを鑑賞できる!




〔★花火を見ろ★〕




ウキウキする私の横で瑞希お兄ちゃんが言った。




「高千穂、凛の隣に座れ。」


「え!?」


「あ、あたしっすか!?」


「親衛隊長なら、隣にいるもんだろう?」




もっともなことをニヤニヤしながら言う瑞希お兄ちゃん。




「なぁ、烈司?」




それで初代親衛隊長もニヤリと笑う。




「瑞希が言うなら仕方ねぇな・・・高千穂に譲るぜ。オメーらもいいよな?」


「フン!俺は物わかりの良い先輩だからな・・・夏の思い出作りの協力ぐらいしてやるさ。」


「わはははは!若い2人に譲ってやるぜ!」




(なんか・・・別の意味がある気がする・・・)




〔★別の意味だろう★〕





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