第8話 大フィーバーで大混乱!?凛とみんなの夏休み!(8)
「凛、どんなのがほしいんだ?」
「ですから、もう買って頂かなくて大丈夫です!」
「だから、食い物は買わないって!どんなおもちゃがほしいんだ?」
「あの・・・!」
私の意見は通ったけど、買うことは続行される。
「いえ、ですから僕は~!」
「わはははは!このお面なんかどうだ!?」
瑞希お兄ちゃんの言葉を受け、戦隊もののお面を私の顔につける百鬼。
「ちょ、前が見えませんよ!?」
「わははは!両脇の奴らに誘導してもらえ~」
「ナイス!」
「良い考えですね!」
「ちょっと~それならノーホールのイヤフックがいいわよ!はい、どうぞ~」
「わっ!?」
カラフルな真珠がたくさんついたイヤリングを、私の耳につけるモニカちゃん。
「光るカチューシャもつけようぜ。」
「なっ!?」
私の頭に光るウサギ耳のカチューシャをつける烈司さん。
「ならばペンダント型のライトも持っておけ、凛道。」
「ええ!?」
小型ライトのついたペンダントを首にかける獅子島さん。
「おい、お前ら!ちょっと凛に、つけすじゃねぇーか?」
「そうか、瑞希?腕につける抱き人形も買ってやんねぇと。」
「光る棒スティックと指輪とブレスレットも買ってあげる!」
「ビニールのおもちゃがよかろう。ハンマーと剣で遊ぶがいい。」
「わはははは!風船とヨーヨーも持っとけー!!」
こうして、どんどん身につけられた結果。
「おい、龍星軍の総長が来てるんだって!?」
「あれだろう!あの人だかりの中心だろう!?」
「見に行こうぜ!」
「どんな顔して~・・・うわああああ!?」
私を見た別の野次馬達が、叫んだかもしれない。
「な、なんだあれ!?」
「あれが凛道蓮、さん!?」
「全身フル装備じゃねぇか!?」
「すっげー祭りを楽しんでる感はわかるけど~!」
「素顔わかんねぇー!」
(そうでしょうね・・・)
自分でも自覚できるぐらいの重さと、視界の悪さ。
〔★愛の分だけ重かった★〕
「リンリン、マジパネェ!」
「この調子だと、向こうにつくまでどれだけ増えるか~♪」
「うはははは!凛は人気やなぁ~!ここまでおもろいことになるとはのぉ~!」
「面白がるな、ボケ!ヤベーぞ、早く凛さんをお連れしないと!このままでは、貢物で身動きが取れなくなってしまう!」
比較的の常識人である可児君の言葉もあり、私への飾り付けは終了した。
◇
◇
◇
屋台で買い物をしながら、用意してくれた席に向かった。
途中、視界が悪いのでお面をずらして斜めにつけた。
持ちきれないおもちゃは、買ってくれた人が・・・持つことなく、私の四方を囲んでいる友達4人が分担して持ってくれた。
それは悪いので私も持つと言ったけど、持たせてくれなかったことで・・・罪悪感が増す。
「つきましたよ、凛さん!こちらになります。」
そう言って可児君が指さすのは、打ち上げ花火を見るには最適なスペース。
毎年人気の最前列だった。
「え?あんないい場所、取れたんですか?」
「ウェイウェイウェイ!もちろん!俺、リンリンのためにキープした的な!」
「おっと、場所を見つけたの俺だよ?」
「あ、ありがとう二人とも・・・。」
「ウェイウェイウェイ!リンリンのためなら、お安い御用さ~」
「あなたのために尽くすのが、俺の務めですからね?」
「あはははは・・・」
私の両脇を固めているイケメンからの言葉に、頑張って笑顔を作りながらお礼を言う。
「凛の奴・・・・至れり尽くせりだな。」
「み、瑞希先輩!でしたら俺が、お世話を!」
「あ!?ずるいよ、円城寺君!瑞希お兄ちゃんは僕が~」
「瑞希も人のこと言ねぇな。」
「「「やけるねー」」」
〔★初代龍星軍の意見が一致した★〕
「凛さん、足元に気をつけてください!」
「あ、ありがとう、可児君。」
「オメーら、瑞希先輩達の到着だぞ!」
「言わなくてもわかってんよ、大河!」
「先輩方、お待ちしてました!」
円城寺君の言葉を受け、場所取りをしていた仲間が答える。
「ちわっす!真田先輩、宗方先輩、朝霧先輩、獅子島先輩、百鬼先輩!」
「凛君も、こんばんは。」
「悠斗君、秀君。」
待っていたのは甚平姿の長谷部悠斗君と吾妻秀一君。
なごやかに迎えてくれたが、すぐにギョッとした顔で瑞希お兄ちゃんと円城寺君を見る。
「どうしたんすか、真田先輩?大河も・・・食い物、山ほど買ってきて。」
「ずいぶん寄り道してきたんすね?」
「おう、凛の分だ。遠慮ばっかりするから買ってやったんだ。」
「くっ・・・そういうことだよ!」
「え!?そんなに買わせたのか、凛君?」
「買わせすぎだぞ凛道!?」
「おねだりしたわけじゃないです!」
〔★買ってくれただけだ★〕
「てか、凛君自体もスゲーことになってんな!?お面にヨーヨー、光るおもちゃとビニールの剣って・・・それも真田先輩に買ってもらったのか?」
「いえ、瑞希お兄ちゃんもですが、他の先輩方も・・・」
「払わせたのかよ!?道理でおそいわけだぜ!テメーの買い物に、真田先輩達を付き合わせたのかよ!?」
「ぬれぎぬです!」
〔★つき合わせれた側だ★〕
「人聞きの悪いことを言うなよ~凛たんに似合うから買ってやったんだぜ?」
「そうよ~!凛ちゃんには光るおもちゃも似合うの!」
「まだまだ、ビニールで出来た剣のおもちゃでチャンバラして遊ぶ年ごろだろう。」
「わはははは!ヨーヨーはぶつけて遊べ!」
「「ホント、凛道蓮に甘いですね!?」」
(否定できない・・・)
ありがたいと感謝するべきなのだろうけど、素直に喜んでいいか疑問だわ・・・
〔★凛への愛であふれている★〕
円城寺君からの視線も厳しくなってきたので話題を変えた。
「ところで、カンナさんはどこです?」
「「さっそくそれかよ!?」」
私の問いに、秀君は笑い、悠斗君は目をつり上がらせる。
「留守番係をしてると聞きまして。」
「俺らもだけどな。」
「それで、カンナさんはどちらに?」
「えーとな・・・」
「秀の後ろにいるっつーの!ケッ!!」
苦笑いする秀君の声を遮りながら、苦々しく悠斗君が答える。
「え?秀君の後ろに??」
「隠れてんだよ。」
「バッキャロー秀!!適当なこと言うな!!」
秀君の言葉の後で、ドスの利いた声が響く。
同時に、秀君の背後に誰かいるのが見えた。
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