第7話 大フィーバーで大混乱!?凛とみんなの夏休み!(7)



合流した私達は、みんなで屋台が並ぶ道を歩く。


この花火大会には、『菅原凛』も来たことがあった。


その時は人で込み合い、歩くだけでも大変だったのだが・・・




「ねぇ、あれって・・・」


「うわ・・・マジだ・・・」


「間違いないよな?」




今年、凛道蓮として初めて参加したところ、いつもとは違っていた。


すれ違う他人を気にして歩くことはなかった。


むしろ、行きかう人達が道を作ってくれた。


というよりも・・・




「ママーなにあれ?」


「見ちゃいけません!」


「あっちから行こう・・・」


「関わらない方が良いって。」


「噂の龍星軍よね・・・?」


「やだ、怖―い!」




周りの人達はみんな、私達をよけるように道の端に寄ってくれていた。




(さけられてる・・・?)




それだけでもダメージがあるのに、じろじろと見られているような。




(見世物になっている気がする・・・)




〔★さらし者ともいえる★〕




世間の目を受けながら歩けば、その視線に気づいた仲間達が騒ぎ出す。




「オラー!何見てんだコラッ!?お前ら、凛さんを見てただろう!?」


「勝手に、龍星軍4代目を撮影しないでくださいね♪」


「うはははは!凛を撮るなら、わしにしてぇー!!」


「リンリン、ケバブ食べるぅ~?買ってあげようかぁ~?」


「そっとしといて頂けませんか!?」




友達が目立つことをするので、ますます注目を浴びてしまう。




(ただでさえ、瑞希お兄ちゃんと離れて歩くはめになってるって言うのに!)




恨めしく思っていれば、好きな人をかっさらった円城寺君の声がした。




「瑞希先輩、屋台で何か買っていきましょうよ?」


「あーそうだな・・・凛!何が良いー!?」


「え!?」


「ちょ、瑞希先輩!?」




戸惑う円城寺君の声と、私の心臓の鼓動が重なる。


はるか前方を歩く瑞希お兄ちゃんが、私に問いかけてきた。


ただし、目の前に可児君がいるので、彼のお姿は見えない。


それでも気にかけてもらえるのが嬉しかった。






「凛が好きなの買ってやるよ!どの屋台がいいー!?」




無邪気な笑顔で問いかける彼に胸キュン。




(離れていても、私のことを気にかけてくれるなんて・・・・!!)



「お、お気持ちだけで十分ですよ!自分で買えますから・・・」


「ばか!ガキが遠慮すんじゃねぇよ!ベビーカステラなら、口が汚れないからいいな?」


「でも・・・」


「凛、チームの掟を言ってみろ!『初代の言うことは!?』」


「ぜ・・・『絶対』です・・・」


「決まりだな?すいません、ベビーカステラ1袋!」


「毎度!」




断れないとわかっていて、言うことを聞かせる好きな人。




(そう言う強引なところも、すごく好き。)




〔★瑞希はベビーカステラを手に入れた★〕




「よかったですね、凛さん。」


「うはははは!ええのー凛は!瑞希はん、優しいやん!?」


「噂通り、ぼっしーの兄君はブラコンですね。」


「ウェイウェイウェイ!リンリンが良い子だから、可愛がっちゃうんだろうね~」


「そ、そんなことないですよ・・・」




周りの言葉に、恥ずかしくてうつむいてしまう。




「凛、飲み物はどうするー!?暑いから、のど乾いてるだろう!?」




そんな私に、買い終えたらしい瑞希お兄ちゃんがまた聞いてくる。




「あれよくないか?電球ソーダ!」


「は、はい!」




聞きなれない、見えない飲み物をすすめてくれる好きな人。


龍星軍の掟もあって、断ることは出来そうにないし・・・特別扱いされるのが嬉しかったので瑞希お兄ちゃんに甘えた。




「凛、飲むよな~!?」


「い、いただきます!」


「味はどうするー?イチゴにメロンにブドウ、ピーチ、ハワイアン・・・凛はクリームソーダが好きだから、メロンでいいか?」


「お、覚えててくれたんですか!?メロンにします!」


「じゃあ、電球ソーダのメロン味で!あ、焼きそば美味そうー!ソースは汚れるけど・・・ハシ巻きは買うべきだよな?凛、お好み焼きは好きか?」


「す、好きです!」


「ついでに、かき氷と爆弾アイスとクロワッサンたい焼き・・・とりあえず、これで!」


「瑞希先輩、買いすぎじゃないっすか!?」


「凛はもう少しでかくなった方が良いからよ~大河も、気にしないで自分の分を買えよ?」


「くっ!そ、そうでございますか・・・!」




〔★瑞希の大人買い、大河は何か言いたそうだ★〕





「ははは!あれじゃあ、円城寺が引き離しても意味がないな。」


「ホントよねぇ~みーちゃん、凛ちゃんに甘いもん。」


「お前もだろう、モニカ?着付けにどれだけ、時間をかけた?」


「全員甘いじゃねぇか!?わははははは!」




背後から響く会話に、ますます恥ずかしくなる。


だけど・・・親切にしてもらえて、嬉しかったりもする。




「烈司!持つのを手伝ってくれよ~」


「テメーで買ったんだろう、瑞希?テメーで持て。」


「み、瑞希先輩!俺がお持ちします!」


「悪いな、大河?」


「いいっすよ~」




瑞希お兄ちゃんが、私のために買ってくれたものを持つ円城寺君の声は明るい。




「あーあ。ぼっしーへの貢物を、嬉しそうに持ってるねー?」


「憧れの先輩のお役に立てれば、それで満足なんだろうぜ?」


「ウェイウェイウェイ!報われない愛的な~!」


「うはははは!凛とそっくりじゃのぉ~!下心で動くところが!」


「僕のは下心じゃないです!!」




私のは純粋な愛情なんだから!




〔★下心だ★〕




「お、ポッポ焼き売ってる。凛たんに買うか~」


「れーちゃん、食べ物はみーちゃんが買ってるじゃない?」


「1個ぐらいいいだろう?」


「じゃあ、あたしも買おう!コットンキャンディーで、お花が一番大きくて一番カラフルなのにするぅ~♪」


「では、食べ物は1人1個ということで買ってやろう。店主、カルメ焼きを1つ。」


「わはははは!男だったら、チョコバナナだろう!?」


「え!?あの、みなさん!?」




後ろからの声にギョッとする。


私に聞くことなく、四方の屋台へと散らばる先輩達。




(これ以上、買わせるのは悪い!)




止めようと思ったんだけど・・・・




「凛、他にほしいものあるかー??」


「い、いいですよ!瑞希お兄ちゃん!もう十分、すぎるほど、食べ物を買って頂きました!」


「そうだけぜ、瑞希。食い物ばっかじゃダメだろう?」


「烈司さん!?」




黒砂糖が香るパンのようなお菓子を持ち帰った烈司さんが言った。



「食い物はこれぐらいにして、おもちゃだろう?」


「あ、そっか!」


「ええ!?そっかじゃないですよ!?」




烈司さんの言葉に納得する瑞希お兄ちゃん。






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