第6話 大フィーバーで大混乱!?凛とみんなの夏休み!(6)




「冗談はそれぐらいにして下さい!カンナさん、来てないんですか?」


「うははははは!カンナはんらは、場所取りの留守番や!」


「留守番?」


「みんな離れてもーたら、他のもんにとられてまうやろ~!?うはははは!」


「あ。それもそうですね・・・。」




ヤマトの言葉に納得する。




「では、お待たせするのも悪いですね。早くいきましょう。」


「わはははは!そんなにカンナちゃんに会いたいのかよ、凛助―!?」


「フン、現金なオスめ。」


「みなさん、そろいもそろってひどくないですか!?」




〔★誤解を含む辛口コメントだ★〕




「ウェイウェウェイ!そうと決まれば~リンリン、レッツゴー!」


「さあ、さあ!行きましょう、ぼっし~!」


「え?え?」




そう言うなり、私の両腕を左右からそれぞれつかむちーちゃんとつなぐ。




「ちょ、2人共!?くっつきすぎでは・・・」


「え~?俺とリンリンの仲じゃんか~?密着24時間てかー?」


「ふふふ~役得でしょ、我が君?あなたの腕に当たる僕おっぱい・・・気持ちイイ?」


「ちーちゃんはともかく、つなぐはコラー!!やってることが、セクハラですよ!?」




グイグイとボディタッチしてくる2人を怒る。


怒ったのは、私だけではなかった。




「コラテメーら!凛さんに何してんだ!?」


「可児くーん!」


「両脇固めて邪魔だろう!?」


「ウェイウェイウェイ!なに言ってる系~?もし、襲撃が来たら、庇える的なー?」


「まったくだよ~僕らは盾になってるんだよー?君こそ、なにもしないで~それでも副総長ですか―?」


「ば、馬鹿にすんじゃねぇ!こういう時は、正面を守るのが常識だぞ!?ということで、俺は凛さんの正面を守る!」


「って、可児君!?」


「凛さん、祭りはただでさえ人が多いんです!俺が進行方向を確保します!」




そう言うと、私の正面へと回り込む可児君。




〔★可児も壁になった★〕





「しなくていいよ!それよりもちーちゃんとつなぐを引き離してください!」


「ひどっ!俺嫌われてる系!?」


「我が君・・・俺の性が中間だから、嫌いなのですか・・・!?」


「え!?いや、そうじゃなくて~!」


「うはははは!盛り上げってきたのぉ~!?ほんなら、わしは凛の背後を守る!ガラ空きやからなぁー!」


「って!?ヤマト―!?」




笑いながら、私の背中に抱き付くヤマト。




「ヤマトっち!リンリンに触りすぎ!」


「ぼっしーから離れろ、でか物!大事な我が君がつぶれる!」


「凛さん、大丈夫っすか!?いつでも、俺の背中にもたれて下さいね!」


「うはははは!楽しいのぉ~!」


「楽しくないです!やめてぇー!!」




〔★凛は四方を囲まれた★〕




おしくらまんじゅうよりもひどい状況で、ギュウギュウにされる私。


真夏にこれは、カンベンしてほしい。




「おぃいい!凛がつぶれてるじゃねぇーか!?離れろ、バカ男共!!」


「瑞希お兄ちゃん!」


「ウェイウェイウェイ!俺馬鹿じゃないし~」


「いいや、オメーはバカだぞ、幡随院!」


「うははは!そういう可児君もやん?わしもやけどー!」


「てか俺は、純粋な男じゃないし~」


「うるせぇーよ!!」




(屁理屈がひどい・・・)






「おい、あれ・・・」


「可児達の真ん中にいるのが、凛道蓮?」


「あの凛道蓮なのか!?」


「どれどれ!?どんな顔だよ!?」


「つーか・・・」






そんなギャラリーの声が聞こえたけどそれどころじゃない。






「狭いよぉ~・・・・!」


「「「「顔が見えねぇ!!?」」」」






〔★凛道蓮は、埋もれて見えなかった★〕






ぎゅうぎゅう状態で身動きも取れず、足先だけで歩くので精いっぱい。




「なんだよあれ!?せっかく、凛道さんを見れるチャンスが~!」


「鉄壁のガードじゃんか!?デカい奴が囲んでるから、凛道さん見えねぇぞ!?」


「くっそ~!凛道さんのインスタ上げれば、フォロワー増えるの確実なのに!」


「生画像なら、高値で取引できるのによぉ!」




周囲から私の・・・凛道蓮の顔が見えないことへの苦情がささやかれていたが、そういうことならこれでいいのかもしれないと思う。


思うことにしたけど・・・




(つま先歩きのまま、場所取りしたとこまで行かなきゃダメなの・・・?)



どんな修行なのよ、これ?



「凛、大丈夫か!?」


「瑞希お兄ちゃん!」


「ちゃんと歩けてなくないか!?ちょっとこっちに出て来いよ!」




私のピンチを察して、好きな人が救いの手を差し伸べてくれたが・・・




「大丈夫だろう、瑞希。」


「獅子島さん!?」




ここでまさかの妨害が入る。




「肉の壁として、凛道はガードされてる。あまり心配するな。」


「けど!」


「助けろともいっとらん気にするな。」


「そうっすよ、瑞希先輩!さあ、行きましょう!さあさあ!」


「お、おい、大河!?」


「ちょっと円城寺君!?」




私を気にする瑞希お兄ちゃんを引き離し、グイグイと引っ張って連れて行く総長代行。


先に行ってしまう。




(どっ・・・・泥棒―――――――――!!)




〔★瑞希は没収された★〕




「ふん、他愛もない。」


「お前は大人げねぇーよ。幡随院達みたいに、凛たんにくっつけないからって、言葉巧みに凛たんから瑞希を引き離しやがって・・・」


「くっくっ!馬鹿言うな・・・なんのことやら・・・」


「わはははははは!腹黒いな、伊織!」


「お待たせ~車置いてきたわよ~・・・って、凛ちゃんモテモテじゃない!?あぁん、押しつぶされてる凛ちゃんも可愛いわ~!記念撮影、記念撮影♪」




合流したモニカちゃんは、助けてくれるわけでもなく、私にチョキを向けて楽しそうに撮影してる。


自力でも、他力でも、抜け出すのは無理かもしれない。




(悪気があってしてるわけじゃないからな・・・)



ちょっと様子見よう。




〔★凛は妥協を選択した★〕






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