第5話 大フィーバーで大混乱!?凛とみんなの夏休み!(5)





花火会場近くで、モニカちゃんとわかれる。




「近くに車預けてくるから、待っててね~」




上手な運転で走り去っていくオネェさん。


その姿を見送りながら、瑞希お兄ちゃんに聞いた。




「お兄ちゃん、近くって言ってましたけど・・・駐車場、混んでませんかね?」




お祭りの時はどこも混む。


特に、会場近くなんて・・・高い料金のところだって、あいてるとも思えなかったんだけど・・・




「大丈夫だ。伊織の知り合いの個人駐車場に止めさせてもらうからよ。」


「個人駐車場!?」


「俺が株主だから問題ない。」


「株主なんですか、獅子島さん!?」


「文句があるか?」


「ありませんけど~!」


どんな元ヤンよ!?


現役の東大生ってだけでもすごいのに!




〔★ますます謎が深まった★〕




「それよりも凛、あいつらとはこの辺で待ち合わせてんだよな?」


「え、ええ。多分来てると思うんですが・・・」




こんなに人が多いと、見つけるのも大変かも・・・。


そんな思いで周囲を見回していたら声をかけられた。






「凛~!!こっちや!こっち!!」


「ヤマト!?」






手をふりながら呼びかける大男が目に入る。


親友の五十嵐ヤマトだった。


唯一、私が女の子だと知っている味方の関西男子。


甚平姿で出迎えてくれた。




〔★陽気な男が現れた★〕




「うはははは!りーん!会いたかったでぇ~!」




両手を広げながら近づいてくるヤマト。




「はいはい。僕もで―――――」




苦笑いしつつも片手を上げれば――――――




「リンリン、待ち焦がれた系~!!」




ドン!


「おお!?」


「わっ!?ち、ちーちゃん!?」




ヤマトを追い抜いて、すごい勢いで正面から私に抱き付いてきたのは、ド派手に着飾っているチャラオ。


同じく友達である幡随院長政君、通称・ちーちゃんだった。


浴衣姿をした元・全国ナンバーワン半グレだ。




「ひどいやん、ながちゃん~?わしと凛の抱擁ジャマするかぁ~?」


「にゃははは!ごめんね♪」


「うはははは!許しちゃう♪」


(なにこれ・・・)




テヘペロしあう男二人に、何とも言えない気持ちになる。




〔★解決はしたようだ★〕





「リンリン!どう!?今夜のちーちゃんは!?」


「え?ああ、着流しにしたんですね?」


「ウェイウェイウェイ!リンリンとおそろい系!神パネェっしょ!?」




いろいろ言いたいことはあったけど、着こなしは良かった。


似合っている。


見た目はチャラいけど、身に着けている物はブランド品。


多分浴衣も良いものなのだろう。


香水も、いつもとは違う良いニオイがしたけど、瑞希お兄ちゃんには負けるわね。




〔★瑞希の評価が上がった★〕




「おい、凛さんに馴れ馴れしいぞ!凛さん、大丈夫ですか!?」


「可児君。」




そこへ追加で来たのが、同じく友達の可児良信君。


元SHIELDのメンバーだけど引き抜いた相手。


実家はお寺で、とても義理堅い真面目な性格だった。




「可児君、甚平なんだね?」


「いや、着慣れてるというので・・・おかしいっすか?」


「カッコいいよ!」


「そ、そーうっすか!」




怖かった顔も、慣れてしまえば可愛いものだわ。




〔★可児のテンションが上がった★〕




「ヤマト、ちーちゃん、可児君・・・他のみんなは?」


「はーい、ここです我が君♪」


「わひゃ!?」




そう言われた時、いきなり背後から抱き付かれる。




「つなぐ!?」


「あーん、会いたかったよ、俺のぼっしぃ~!」




首にすり寄ってくるのは、前回友達になった関山つなぐ。


軒猿と言う忍者の末裔で、とても強いんだけど・・・




「ちょ、くっつきすぎだよ、つなぐ!」


「照れないでよ、ぼっしぃ~!」




現在、性別が中間であるので、扱いにとても困っている。


一応、戸籍は男なんだけど、男なんだけど・・・うーん。


本人が女子になる可能性もあるので、慎重になってしまう。


まぁ、どっちを選んでも、友情は変わらないけどね。




(とはいえ、あまり触られると、女の子ってバレちゃうよー!)




〔★気が抜けないスキンシップだ★〕





「コラテメー!リンリンに馴れ馴れしいんだよ!離れろ!」




そんなつなぐにひるまないのは、元半グレのちーちゃん。




「なにそれ~?俺とぼっしぃーの関係に焼きもちですかぁー?」


「はあ?なんで俺が、テメーみたいな小物に危機感持たなきゃなんねぇんだっ・・・!?」


「だったら、余裕持って眺めてればいいでしょ~?仮にも元・JAGUARのボスだったくせにぃ~?」




つなぐもつなぐで、ちーちゃんにひるまない。




「あんだと、テメー?」


「なんですかぁ?」


「や、やめてよ、二人とも!」


「凛さんを間に挟んでもめるんじゃねぇ!」


「うははは!ダンゴ三兄弟やと、凛は次男のポジションやなぁ~!」




〔★挟まるどころか、つぶれている★〕




「リンリンから離れろ!」


「お前こそ、正面から離れろ!」


「両方離れて下さーい!」



「おい、なんだあれ?」


「すっげー騒いでるけど・・・」


「喧嘩か?」




会場の視線がこちらに集まる。




「あーあ・・・なにしてんだか・・・」


「み、瑞希お兄ちゃん、助け~」


「瑞希先輩!!」




私の声と別の声がかぶった。




「お似合いっすね、着流し!」


「お、大河か?」


「円城寺君!」




声の正体は、同じ龍星軍の友達の円城寺大河君だった。


いつも怒ってるけど、瑞希お兄ちゃんにだけはニコニコしてる。


そんな彼が、人混みを押しのけ・・・・自然に出来た通り道を駆け抜けながらやってきた。




「おい、あれって・・・」


「龍星軍じゃないのか!?」


「うわー・・・勢ぞろいじゃんか?」




それで周囲がさらにヒソヒソ言い始める。


同時に、私達から離れるように遠巻きになる。




(うわー・・・目立ちたくないのに、注目される・・・)




まぁ、このメンバーなら仕方ないかもしれない。


そんな思いで仲間達を見たところで気づく。




「円城寺君、カンナさんは?」




いるべき人がいないことに。


いつもなら、真っ先に声をかけてくれる友達。


キラキラした目で瑞希お兄ちゃんを見ている人に聞けば、彼は即答してくれた。




「うるせぇ、知るか!瑞希先輩、今日はご一緒できて、マジで感激でして~」


「って、話聞いてよ円城寺君!」


「ええやんか~!周りから見れば、凛もあんな感じやでー?うはははは!」


「絶対違います!」




〔★そう思ってるのは本人(凛)だけだ★〕






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る