第4話 大フィーバーで大混乱!?凛とみんなの夏休み!(4)




「このピンクの浴衣、いいでしょう!?お店だと、あたしの身長に合う女性用浴衣がないし~せっかくファッションの勉強してるなら、自分で作りたいじゃない!?」


「わかります。その桃色、モニカちゃんに似合ってますよ。かんざしとの組み合わせもいいです。」


「わかる!?このトンボ玉のかんざし、手に入れるの苦労したのよ~これをつけたいから、ロングのカツラにしたのよね~ストレートだとまとまりにくいから、ちょっとウェーブ入ってる方が良いのよね~あ、でも・・・お花までつけたのは、派手すぎたかな?」


「派手じゃなくて、華やかですよ。ちょうどいいです。」




ミラー越しで笑いかければ、キレイな顔でモニカちゃんが照れた。


運転席にすわるオネェさんは、見事な女性に化けていた。


ご機嫌な様子で、どうやって変装したかモニカちゃんは語る。




「うふふふ・・・!何だか恥ずかしいわぁ~今年は、衣装だけじゃなくて体も気合入れちゃったの♪スレンダーでもいいけど、せっかくだから、おっぱい仕込んだのよ~パットだけどね~」


「ええ、胸元・・・すごく盛り上がってますもんね・・・」


「でしょう~?Dカップぐらいのパットがちょうどいいのよね~♪触り心地が一番リアルなタイプを選んだんだけど~触ってみる!?」


「遠慮します。」




(元々、モデルみたいにかっこよかったけど・・・)




ホント、メイクだけじゃないんだ・・・




(体つきまで、女性らしくなっていた。)




こんなに変わるんだな・・・




(女の人らしくなれるんだ。)




完全な女性に似せていた。




〔★オネェの女子力を見た★〕





「そうそう、ネイルも力作なのよ~見て見て♪」


「って、モニカちゃん、前!前!」


「「「「お前は前を見てろ、モニカ!!」」」」


「わはははは!人身事故にすんなよぉ~!」




左右に揺れる車に、私達は声を上げる。


すぐに笑い声に変わったけどね。


笑い声がやんだところで、隣に座っている人が言った。




「烈司さんも頑張ったぜ?はい、凛たんに新しいアクセサリー♪」


「え!?」




驚く私の手首に、ブレスレットをつけてくれた烈司さん。




「わあ~キレイな石!前のブレスレットとは違いますね?」


「まあな。前回、忍者が壊しやがったからな~バージョンアップしておいた♪」


「何が違うんですか?」


「浮遊霊を追い払う効果が入ってる。」


「怖いんですけど!?」




(私、幽霊がついてるの!?)




〔★トラブルはついて回ってる★〕




「はははは!凛たん、五十嵐とつるんでるからな~」


「だったら、ヤマトにこそ、お守りをあげて下さいよ!」


「いや~そこは愛情の温度差じゃん?」


「公平にお願いしますよ!」


「心配しなくても、あいつは幽霊を追い払う力があるから、平気平気♪そうじゃなきゃ、あんな物件で生きていけねぇよ。」


「そこは暮らしていけないじゃないですか?」




〔★ひっかかる物言いだ★〕




「どいつもこいつも過保護ばかりだ。凛道、自分の身は自分で守れよ。」




私達のやり取りを着ていた助手席の獅子島さんが、いつもの調子で注意してくる。




「念のため、催涙スプレーを渡しておく。」


「あ・・・すみません。」


「万が一を考え、携帯の予備の電池も渡しておく。」


「あ、ありがとうございます。」


「誘拐対策として、現金とテレホンカードも渡しておく。公衆電話なら、赤いボタンを仰せば金がなくても警察は来る。」


「え!?お金って!?いくらなんでも、それは悪――――」


「悪いことがあっては困る。スタンガンも持っておけ。」


「えっ!?ですから・・・」


「持っておけ。」


「・・・はい。」




有無を言わさぬ親切を、素直に受け入れる。


怒りつつも、いろいろくれたんだけど・・・いいのかな?




〔★伊織が一番甘い★〕





「わはははは!オメーら全員、凛助を甘やかしてんじゃんか~!」


「も、百鬼さん!?」




背後にいた男が、ガバッと私の体にのしかかる。




「凛助~俺様がナンパの極意を教えてやるぜぇ~!」


「いえ、硬派なのでいいです。」


「わはははは!しゃーねぇーな!酒おごってやるよ、酒!」


「いえ、未成年なのでいいです。」


「つまんねぇーな!女が開放的になる時狙わなきゃ、男になれねぇぞー!?わはははは!」


「・・・百鬼さんが言う男と、僕が思ってる男は、違う気がするんですけど・・・?」


「わはははは!良い女がいたら、教えてやるからなっ!」




そう言うと、私の頭をぐしゃぐしゃにする野獣。




(良い女性を紹介されても、困るんだけどな・・・)




設定は男の子だけど、女の子だからな~




〔★必要ない情報ばかりだ★〕





「おい、乱暴にするなよ、皇助!」




それを見ていた瑞希お兄ちゃんが、乱れた私の髪をなでながら言う。




「やれやれ・・・凛も大変だな?」


「あ、いえ・・・」


「ついたら、なんか買ってやるからな?」


「え、いいですよ。自分で買えます。」


「ばか。こんな時は、先輩に甘えろ。お兄ちゃんでもあるんだからな?」


「お兄ちゃん・・・」


(・・・ホントに甘えちゃいますよ?)




そんな思いでもたれかかれば、頭をナデナデしてくれた。


その心地よさに、おずおずしながらも身を預ける。


瑞希お兄ちゃんは突き放すことなく、ギュッと抱き寄せてくれた。


拒まれなかったことが、嬉しかった。


そんな私を乗せた車は、花火会場へと加速するのだった。





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