第2話 大フィーバーで大混乱!?凛とみんなの夏休み!(2)




(しかたない・・・胸と股間にだけ気をつけながら、任せよう・・・)




強く拒めば断れたかもしれないけど、長時間の拘束で反撃する気もなくなっていた。


注意しつつ、なすがままになる。


そんな私に、喜々としながらモニカちゃんは言う。




「あん!凛ちゃん、腰細い!ちゃんと食べてるぅ~?」


「だ、大丈夫、食べてますよ・・・」


「ホントー?モニカちゃん的には、もっと太らせたいわぁ~お腹のこの辺とかぁ~♪」


「ひゃ!?ちょ、モニカちゃん!?」


「やめろ、モニカ!ベタベタするな。」


「いいでしょ!着付けのできない、れーちゃんは、机の上の小物をとってよ~」


「へいへい!その代わり、凛たんへのセクハラを軽減しろよ!」


「はいはい!出来ない人は、出来ない人なりに、協力してねー?」


「では、浴衣も着物も着付けが出来る俺の配置はどうする?」


「あん!さすがイオリン、出来る男~!じゃあ、クローゼット前に積んでる三番目の箱、そこに下駄入ってるから出して!凛ちゃんのために~」


「ふん!しかたない。」


「わははは!そんじゃあ俺様は~」


「「「なにもするな。」」」


「な!?」


「全員一致で同じ指示ですか!?」


「どういう意味だテメーら!」




私の疑問と百鬼の問いに、モニカちゃんがムスッとした顔で答える。




「皇助にさせると浴衣も帯も巾着もズタボロになるでしょう!?だから全員一致なのよぉ~ん、凛ちゃん♪」


「そうなんですか!?」


「俺が知ってるだけで、浴衣を15着ダメにしてる。」


「俺は21着だ。」


「端切れになったけど、再利用したわ!この小物も、その一つよん♪」


「これはリサイクル品でしたか!?」




(どれだけダメにしたのよ!?)




思わず肩をすくめれば、モニカちゃんが私の襟首を正しながら言う。




「ダメよ、凛ちゃん!じっとしててね!」


「あ・・・はい・・・」


「あとね、シルキロールはこっちの和風の柄と交換して!付け替えなさい。」


「は、はい。」


「髪もいじりたいから~ちょっと座ってくれる?」


「わかりました。」




そこからが早かった。


テキパキとモニカちゃんが私の浴衣を整えていった。




「出来たぁ~!どう!?」


「わあ・・・すごい・・・」




得意げに言うモニカちゃんに、鏡の前に押し出される。


そこに映っていたのは、ポップで可愛いけど男の子だとわかる和装の自分だった。





「凛ちゃん、元が可愛いから何でも似合うわ~!」


「そ、そんな・・・・モニカちゃんのセンスがいいからですよ。」


「もぉ、ホントに謙虚なんだから!」


「ふん、皇助の自己主張をわけてやってもいいぐらいだな。」


「あんだとコラー!?」


「よせよ。けど、これなら瑞希も喜ぶな~」


「俺が何だよ?」


「え!?」




その声にドキッとする。


思わず、声がした方を見れば、その方はいた。




「瑞希お兄ちゃん!!」


「遅いぞ、お前らー?いつまで待たせんだよ?」




現れたのは、私が片思い中の麗しの君!





「お!似合うじゃんか、凛?」





元龍星軍総長の真田瑞希様の降臨!!


現在はバリスタとして働いているさわやかで優しい人!


可愛い見た目に反して、喧嘩は強くて、男らしくてカッコいいとこにギャップ萌え!!


私のことをすごく可愛がってくれて、甘やかしてくれ、時には厳しくしてくれるけど、やっぱり甘々の5歳年上のお兄さん!


いろいろ心配して、面倒を見てくれる最高に素敵な男性なんです!!


さらに言えば、私が男装と偽名を使うきっかけになった罪なお人でもあります!




〔★男装と偽名は凛が原因だ★〕




ニコニコしながら近づいてきた彼に、私も笑顔で答える。




「凛も、着流しにしたんだな?」


「お、お兄ちゃんも、着流しですね!?」


「はは!こういう時ぐらい、日本人らしくしないとな?」




着流し率が高いと思いながらも、そのお姿に見惚れる。


男性でありながら、中性的な美しさを持つ好きな人。


リップを縫っているわけでもないのに、常に桃色の唇が魅惑的!


和服を着ていることで、首筋のあたりがとても色っぽいのです!




(じろじろ見てはいけないとわかってるけど~視線が言うことを聞かないわー!)




浮かれながら、ついつい見入っていれば彼と目が合う。


途端に、困ったような笑みを向けられた。




「にしても、凛・・・なんで浴衣の下にアンダーシャツなんか着てんだよ?」


「え?」




指摘されたのは、見ていたことではなく、服装のこと。





「お前、暑いのにまだ厚着を続ける気かよ?それとも、オネェさんを警戒して脱げなかったとか?」


「失礼ね!凛ちゃんが嫌だって言うから脱がせてないわよ!脱がしたいけど!」


「そーかい。つーか凛、暑くねぇ?」




そう言うと、私の首に手を伸ばし、アンダーシャツを軽くつまむ。




「あ!?」


(ヤバいのど仏!触られたら、ないのがバレる!?)


「だ、大丈夫です!僕、好きなんですよ!アンダーシャツ!」




私の服をつまむ彼の手を、丁重に押し戻しながら訴える。


苦しい言いわけをして誤魔化してみる。




「だから、お気になさらないでください!譲れないマイブームのオシャレというものですから!」


「ふーん。ならいいけど・・・面白いマイブームだな?」


「あははは・・・」




しろもどする私に、瑞希お兄ちゃんは苦笑いしながら追及をやめてくれた。


よかったと胸をなでおろしたのもつかの間。


瑞希お兄ちゃんは、とんでもないことを言った。




「凛、ちゃんとアンダーシャツの下には、防弾チョッキも着てるよな?」


「え!?着てませんよ!?花火を見に行くだけでしょう!?」


「凛、撃たれた過去があるじゃん?」


「確かに同じ火薬系ですけど!!」




〔★使い方は違う★〕




「なに言ってんの、みーちゃん!?」


「それはオメーだよ、モニカ!何で着せないんだよ?」


「この真夏にそんな厚着させられないわよ!重いだけじゃなくて、見た目が不格好になるでしょう!?」


「そこは熱中症のことを心配しろよ。瑞希ぃ・・・防備も大事だけど、防弾チョッキは・・・大げさだろう?俺らがいるのによ?」


「烈司に同感だ。皇助という肉の壁があるだろう?何を言っているのやら・・・」


「オメーが何言ってやがる、伊織ぃぃぃ!!」




(肉の壁って・・・・)




真顔で言う獅子島さんに、目を見開いて抗議する百鬼さんを見て思う。




(ホント、扱いがひどいな・・・)




〔★今に始まったことではない★〕







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