彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
YAYOI99
第1話 大フィーバーで大混乱!?凛とみんなの夏休み!(1)
夏休み最後の祭りがはじまる。
「凛、モニカ、準備できたか?」
「ま、まだです瑞希お兄ちゃん!」
「みーちゃん、あせらさないでよ!」
みな様、こんにちは。
僕は凛道蓮!
龍星軍の四代目総長であります。
「早くしないと、花火に間に合わないぞ?」
「はあーい!」
本日僕は、好きな人をふくめたみんなで、今年最後の花火大会に行きます。
「凛ちゃん、レギンスは可愛いからいいけど・・・この暑いのに、アンダーシャツまで着るの?」
そう言って、両手に浴衣を抱えてやってくるのが、朝霧モニカさん。
Tシャツとスパッツというラフな軽装ですが、これでも元ヤンで伝説の暴走族初代龍星軍の遊撃隊長です。
見た目、俳優でも通用するぐらいハンサムですが、実はオネェさんです。
引退後、ファッション関係の学校に通いながら、ネットショップをしていたりと、おしゃれにうるさいため~
「モニカちゃん、僕は、さっきのでいいと思いますよ~」
「凛ちゃんさっき着た時、その前に着たのでいいって言ったじゃない!テキトー言っちゃダメよ!」
私の着替えにも時間をかけます。
着せ替え人形になって、一時間経ちそうです。
〔★妥協は許されなかった★〕
用意された服の前で、身動きがとれないでいたら、部屋の戸をノックされた。
コンコン。
「おーい、早くしないと、伊織が噴火するぞ?」
「だれが火山だ、馬鹿者。」
「わははは!」
「って、着替え中!入ってこないでよん!」
私とモニカちゃんのやり取りを遮断するのは3人の良い(?)男。
部屋の戸を少し開きながら顔をのぞかせ、モニカちゃんに怒られているのが宗方烈司さんと獅子島伊織さんと百鬼皇助さんだった。
「あ、烈司さん着替えたんですね?」
「そーよ!似合うだろう、凛たん?」
着流しをまとったヘビーがスモーカー笑いかけるのは烈司さん。
甘いマスクの男前だけど、モニカちゃんと同じチームの元ヤン。
かつての初代親衛隊で、すご腕の占い師として働いてます。
今も昔もタバコが手放せません。
〔★着流し烈司が現れた★〕
「似合いますね、烈司さん!」
和服への感想を求められたので、感じたままに返事する。
「他の皆さんも・・・・あ、獅子島さん、今日はサングラスですね?どうしたんですか?」
「フン!お前達と人が集まる場所に行くのは目立つからな。化ける必要がある。よって今夜、俺だとばれた場合の釈明は、『家庭教師をしている凛君に頼まれてついてきた』という設定にしている。わかってるな、凛道?」
「わ、わかりました。」
「言うことはそれだけか?俺が言わんと、気の利いたセリフの1つも言えんのか・・・!?」
「ひっ!?す、すみません!今日はいつも以上に男ぶりが上がってます!とても素敵です!」
「フン!媚びばかり覚えおって・・・」
着流しを身にまとい、扇子で仰ぎながら言うのは、サングラスをかけた獅子島さん。
普段はメガネをかけている、クールで知的な美形東大生。
怒らせない限り普通ですが、これでもモニカちゃん達と同じ、龍星軍の元ヤンで副総長をしていた怖い人です。
「わはははは!素直じゃねぇーな伊織!嬉しいくせによぉ~!?」
「あ、百鬼さんは・・・甚平ですか?」
ツンとしてる獅子島さんを見ながら笑うのは、百鬼皇助。
「わはははは!着流しだと、帯なくすからな!!」
「そ、そうですか・・・」
百鬼からの豪快な返事に、普通はなくさないけど・・・と思わずにはいられない。
他の人達はともかく、百鬼は・・・だれが見てもわかる元ヤン様。
暴走族時代も今も、『野獣』呼ばれて恐れられる龍星軍初代特攻隊長です。(今も、野獣で通ってるけどね・・・)
型破りすぎて、理解するのに時間がかかりそうな人であります。
そんな屈強な男達が部屋に入ったところで、私につきっきりのモニカちゃんが顔をしかめた。
「ちょっとあんた達、可愛い凛ちゃんの着替えをのぞくんじゃないわよ!」
「わははは!オメーらが遅いから来てやったんだよ!」
「正確には、モニカの準備がだろう?」
「モニカお前、手に持ってるやつ、全部凛たんに着せる気か?」
「あっちもよ!」
そう言ってモニカちゃんが指さした先には、大量の衣装が重なっていた。
あまりの服の多さにめまいがした。
思わず聞き返す。
「え!?あれを全部試着するんですか!?」
「そうよん♪」
「ぶっわははは!どんだけ~!?」
「どれだけ、凛道に時間をかける気だ?」
「この調子じゃ、マジで花火が終わるぞ。凛たんの好きにさせてやれよ。」
「絶対いや!!凛ちゃんだと地味なの選ぶもん!」
「あははは・・・」
(そりゃあ、目立つのは着ないわよ・・・)
立場上、私は男の子と名乗ってますが、本当は女の子。
成り行きで男装して偽名を使ってますが、生まれも育ち女。
本当の名前は菅原凛。
高校1年生の女の子なのです。
もちろんそのことは、この場の全員には内緒ですけど。
「どれでも同じだろうモニカ。」
呆れながら抗議してくれる獅子島さん。
「違うわよ、イオリン!どの色がいいかしら~」
「オイオイ!ここまで俺様を待たせて、まだそこかよ!?」
反論しながら服を物色するモニカちゃんに、だるそうな声で答える百鬼。
「今日の凛たんのラッキーカラーは緑だったが・・・。」
「さすがれーちゃん!じゅあ若葉色で決めちゃおう!あれと、これとそれで~」
「ちょ、モニカちゃん!?」
占い師・LEONさんの一言で着る物がしぼりこまれた。
私の知らない情報をキャッチすると、衣装を選ぶオシャレ隊長。
選んだものを私達に見せながら聞く。
「みんな、こんな感じでどうかしら!?」
「ほお、着流しか。」
「甚平もあるわよ!どっちがいい~?」
「着流し。」
「子供らしく甚平。」
「わははは!パンイチ!」
「最後!皇助、真面目に答えなさい!一番いい案ではあるけど!」
「よくないですよ!てか、着る僕に聞いてくださいよ!」
「うーん・・・生足チラがいいから、多数決で着流しね♪」
「よし!」
「チッ!」
「って、僕の意見は??」
〔★無視された★〕
こんな感じで私の意見をスルーしたコーディネートが続く。
「浴衣がこれなら、帯はこれよね♪凛ちゃん、はい、袖通して、動かないで♪」
「あの自分で着れ・・・」
「着せてあげるから♪」
「いえ、でも~」
「着・せ・て・あ・げ・る・か・ら!」
「・・・はい。」
断り切れず、同意する。
〔★モニカの圧力、凛はひいた★〕
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