【頭出し】海遣いのアレルヤ 昼下がり、ジェノヴァにて【プロローグ】
1588年9月
西地中海最大の港として名を
そんな中、荷下ろし中のキャラック船からひと
「このクソガキ! 待てや、このっ!」
この国際色豊かな港町で、それは
スリや食い逃げなど、人によって理由は
「タダで船を乗ろうなんてのはぜってぇ許さねえからな! 大人しく捕まれ!」
——すなわち、密航者である。
小柄な密航者は思いのほか足が速く、一方の
そのせいか、すぐ手が届くというところでうまくかわされたり、街の入り組んだ
とはいえ、多勢に無勢。
走るうちに
「ふう、
「離してくだ……、離せよっ!」
「ふーむ。ま、とりあえず話は商館で聞こうか。申し開きは
そう言って大男は両腕でやや
密航者はじたばたと手足をばたつかせ暴れるが、上手く関節を押さえられているためかびくともせず、船乗り一行はそのまま港の近くから、オレンジ色の屋根をした
そう、何度も言うように、この街ではさして
よく見慣れた日常風景の一幕でしかなかった。
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