第3話 家族を分けると消費が増える

 例えば祖父祖母×2組と夫婦、子供3人が大きな広い家、数部屋とフロとトイレと厨房がある家にすんだら?昭和30年代くらいまであった大家族です。夫婦の両親が同居するのは不自然かもしれませんが、兄妹姉妹も含めた大家族のイメージと捉えてもらってもいいです。


 娯楽は大きな居間にテレビ1台でクーラーも1台。アイロン、冷蔵庫、掃除機。とにかく全部1台ずつで済みます。料理も1人で9人分作れます。風呂も1回入れれば済みます。


 で、昭和40年代以降の核家族を考えるとこれが3世帯になります。テレビは3台。クーラーは3台です。風呂も3組の家族が入れて食事の準備も3家族です。他はもろもろも想像すればわかるでしょう。なにより家が3つ必要です。


 平成になると子供たちもテレビを持ち、クーラーを持ちます。1家庭あたりテレビが2台から3台。クーラーも同様。つまり3家族でテレビもクーラーも6台から9台です。

 

 そして令和の今は分解する家族が無くなってしまいました。

 最後は夫婦を分解します。1人が働いて1人が家事・育児をする分業だと効率がいい=消費が少ない。だから、これはいかん。女性にも働いてもらいましょう、となります。あるいは「こどおじ」を馬鹿にすることで一人暮らしを強要したりします。


 消費を減らさないためには家族が一緒に暮らし、家庭内でも協力し合ってもらっては困るわけです。皆1人で生きて行こうよ。1人で生きるのって気楽でいいよね。それって権利じゃない?権利なんだから働こうよ。


 これは結果論かもしれません。誰かが「お金を使わせるために家族はバラバラになりましょう」と言って分断したわけではありません。どういうプロセスでおきたかと言えば、プライバシーあるいは個の尊重でしょうか。あるいは個人主義と言う名の堕落と言ってもいいかもしれません。


 別に陰謀論が唱えたいわけでは無く、人間が自堕落に弱い方に流れると自然にこうなるということでしょう。我儘に消費することが資本主義には丁度良かったのでしょう。いろんな電化製品、家、その他もろもろを消費する素晴らしい文化ができあがりました。


 ただ、令和になってスマホに娯楽も情報も集中した結果、IT巨大産業が生まれたのは皮肉としか言いようがありません。回りまわって車もテレビも要らなくなってしまいました。


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