三章 神隠しに潜む影➂
「人払いの結界か」
河川敷の一件から、西条正人とその妖怪を追っていたが進展はなく、神隠し事件の起きる時刻になってしまった。
相手が、西条正人という時点でこちらに勘付かれないように動くことは予想できていたが、予想通りの結果となった。
その後、神隠し事件のよく起こる朝陽市の東部に部下を配置して待ち伏せをしていると、微量の妖力を感知した。
他の夜烏の者達は誰も気付けておらず、自分でも見落としてしまいそうなレベルのものだった。
感知した場所に行ってみると、薄っすらとだけだが、人が近寄れなくする結界、人払いの結界が確認できた。
「今までの神隠し事件の発見が遅れた原因はこれか……」
これまで何度も神隠し事件の起きる近辺に夜烏を配置したが、誰も事件を食い止めることができなかった。
それは、この微弱な人払いの結界のせいだろう。
気付けば破壊することは可能だが、気付かなければ誰もここには近づけない。
「これほどの結界を張れるのは、俺が知る限り一人だけだ」
西条正人、奴が蓬莱にいた頃、衝突の度に戦った。
時には共闘したこともあり、奴が神隠し事件を起こしたことを半ば信じられない自分がいた。
「だが、それもここまでだ」
銃口を引き、結界に穴を開ける。
そこから中に入り、妖力を辿って走っていく。
そして、見覚えのある茶髪の男が見えた。
「西条正人、お前を神隠し事件の容疑者として確保させてもらう!」
銃口を向けながら、そう叫んだ。
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