監視線

私はこう思っている、と、俺は”俺“の話をしているのに

”あなたたち“はそう思っているのか、と、君はそう返してくる


全体的な傾向を個別の事例に当てはめたり

個別の事例から全体的な傾向を判断したり


男のくせに情けない

これだから女は嫌なんだ

問題は単純化したほうが楽なんだ

そしたらいちいち悩まないで済むから


仕様がないよ、だって俺日本人だもん

そりゃそうよ、私田舎の人間だもの

そういうことにしておけばそれ以上追及されない

そういう手もある

そしたら自分自身の責任が生じないから


僕らの敵は外側にいるばかりじゃない

僕らの敵は内側にもいる

僕らの中にだって差別はある

僕らだって平等じゃない


ありのままの自分を受け入れあるがままに生きよう

でもそれで他人の生き方を侵害してはならない

あなたがあなたのままでいたいように、

誰もが自分自身の在り方を模索しているのだから


それは外側から僕らを縛り付けるものじゃない

それは尊厳を口実に不自由を強いるものじゃない

それは日々の中で変化し続けるもの

もしもそれが”行き過ぎた“とすれば

それは”誰か“に利用された正義の模造品


僕らの問題は僕らだけの問題じゃない

それは君の問題も解決するはずだ

彼の問題も、彼女の問題も

全ての人の問題を解決するはずだ


それぞれの場合、それぞれの闘争はそれぞれにある

それがリンクしないこともある、でもすることもある

僕らの闘争は僕らだけのためのものじゃない

それぞれの闘争の課題は違っていても


外側からの迫害を怖れるように

内側からの暴走をも怖れている

だから俺はここにいたい

いつかこの線が消えたらいいな、と、

夢見ながら

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