第3夜 赤野家 

それは遠い記憶。黒く錆びた岩と地平線が広がっている。僕の体はまだ小さくて、優しい声と眼差しが僕を見つめていた。


乾ききった僕の体はもう動かない。

私の血を飲みなさい。

そう言って彼女はナイフで手を切り差し出してくれた。


僕は母の血を飲んで生き延びた。

愛情、僕は泣いていた。



『母さん。』

夢をみたらしい、涙が流れていた。


『どうしたの司?』

そこには、昨日僕を殺そうとした少女が不思議そうに眺めていた。


急に僕は恥ずかしくなり。何でもないと枕に顔を押し付けた。


『ふふん、かわいい、司』

『私の弟くん』

はむみ耳を噛まれた

僕は飛び起きた。


『ななな何するんだよ』

『ふふふーご馳走さまぁー』


そう言って彼女は、嬉しそうに『一緒にご飯食べよう』そう言ってきた。


そこには人がいた、半殺しにあった人がいた。

今料理するね、そう言った瞬間彼女の持っていたナイフが、そいつの喉を切り裂いた。


そうして、血黙りのスープと腕が食器に並べられた。


 彼女の前には野菜スープ、パンが。

『君にはそっちの方が、いいでしょ?』

異常な風景だった、ただ人から食べ物を頂くことはいつぶりだっただろうか。


あの夢と重なる、いつも奪ってきた命。

生きる為に、奪ってきた命

それを与えられている。


この少女はなぜ、人を殺すのか

『なんで?』

そして言葉に詰まった。

そのこの目で、確かめると決めた。


少女の目は、目映いほどすんでいた。

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