第11話 「なんじゃこの柔らかさはー!?」
『虹くん。膝枕してあげるよ』
いやいやありえない。いったん落ち着いて、朱莉の言葉の意味についてもう一度確認してみよう。もしかしたら俺の聞き間違いかもしれないからな。
「あ、朱莉?今なんて言った?」
「膝枕、してあげるよ?」
・・・どうやら俺の聞き間違いではないようだ。それはそれで余計面倒くさいんだが。あれだよな、膝枕って漫画とかでは、女の子の柔らかい太ももに男の子が頭をのせて、その柔らかさと下から見上げられる双丘に、よく悶絶しているあれだよな?あれを俺に体験させようとしているのか?朱莉は。一体何の罰ゲームだ?はっきり言って、俺も漫画の男の子と同じようになる未来しか視えないぞ?
「なぁ、ちなみに聞くけど、膝枕をやらないっていう選択肢は?」
「虹くん、お願い・・・・」
「うっ」
忘れていた。俺の幼馴染はもれなく全員美少女なのだ。そんな美少女に潤んだ瞳で『お願い』って言われて断れる男がいるのだろうか。少なくとも俺には無理だ。
「えと、じゃあ膝枕してもらってもいいか?」
「うん!」
俺が聞くと朱莉は満面の笑みで頷いた。
守りたい、この笑顔
「じゃ、じゃあ失礼します」
一言断りを入れてから俺はその場で横になる。
(ふぁぁぁぁぁ。なんじゃこの柔らかさはー!?)
朱莉の太ももに頭を下ろした瞬間に、その柔らかさに心の中で驚愕する。朱莉はストッキングなどを履くタイプじゃないし、今は学校の制服のためスカートしか身に着けていない。つまり薄いスカート生地を一枚しか挟んでいない状態なのだ。そのため、太もものムチムチ感をほぼダイレクトに感じられてしまう。今まで家でのラフな格好も見てきて、生足なども見たことがあるのだが、さすがにここまでの柔らかさは想像していなかった。軽く意識が飛びそうである。
「フフッ。虹くん、ガチガチに固まっちゃってるよー。可愛いなぁ」
そう言って頭を撫でてくる朱莉。
「やめっ――――」
そんな朱莉に対して咄嗟に顔を向けて反抗しそうになるが、直前でやめる。
(あっぶねー。今顔を上げてしまうと、朱莉の立派な双丘を目にすることになること忘れてたー!)
朱莉がその胸に立派なものを持っていることはさっきの登校の時に確認済みである。それを下から見上げてしまうところだった。そんなことをしてしまったら、どうなるか分かったものじゃない。まず間違いなく、目のほよ・・・・・いや、目の毒だ。
何言ってんだ。目の保養になるなんて1ミリも思っていないぞ。
「虹くーん。初めての膝枕の感触はいかがですか~?」
「あ、え、えと、柔らかい・・・・・です」
(何が「柔らかいです」だよ。変態かよ、俺。発言が変態のソレなんだよ。)
と、心の中で自分を罵っていると、上から朱莉が
「もー。さっきからなんでこっちを見てくれないのー?」
と言って、前屈みになって俺の顔を覗き込んできた。
(ぎゃー!これだよ!俺が朱莉の顔を見ない理由は、現在進行形で頭に押し付けられているこの2つの柔らかい物体だよ!・・・・太ももとはまた違った柔らかさだな、くそ!)
頭の中では反論しつつも、実際に口に出すことはできない。その間にも、「むぅー」と言いながら、俺の顔を覗き込んでくる。
(なんなんだよ!顔の上下は柔らかさに包まれて、顔の正面には美少女って!ここが噂の桃源郷ってやつか!?)
俺の脳の思考がバグり始めている。そのうち、思考回路がショートを起こしそうである。ど、どうにかしてこの窮地を脱さなければ。
ショート寸前の頭をフル回転させて、この窮地を脱するための方法を考える。そして、最終的に思いついた案は
「あ、朱莉。そろそろ教室戻らないと。昼休み終わっちゃう・・・」
という何とも情けないものだった。
「うーん、それもそうだね。名残惜しいけど、そろそろ戻らなくちゃ」
しかし、朱莉は納得してくれたようで、覗き込んでいた顔を上げ、俺を解放してくれる。
た、助かった。あの状態を長時間続けていたら、俺の精神が壊れていたかもしれない。そういう意味では、朱莉が潔く引いてくれて助かった。・・・・・べ、別に名残惜しいなんて思ってないから!
「それじゃあ、虹くん!戻ろっか!」
「あ、ああ」
(なんか、昼休みなのにどっと疲れた気がする。休んだ気も全くしないし。)
朱莉に連れられて教室に帰りながらそんなことを考える俺だった。
ちなみに教室に帰ると、なぜか幼馴染4人にすごい形相で睨まれたのだった。
なんで?
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虹くん、お疲れですねw
やっぱり彩さんの言う通り女の子の本気は怖いですね。
頑張れよ、虹!朱莉のアピールは続くし、他の4人のアピールもあるからな!
後、なんで4人は睨んできたんでしょうかね?
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