特別編SS 『いい夫婦の日』 白亜ver.

「ただいまぁ」

家の玄関を開けて、自分が帰ってきたことをアピールする。すると奥の方からパタパタとスリッパの音が聞こえてくる。

「お帰り、白亜」

そう言って、出迎えてくれたのは私の旦那の才川 虹だ。そして私は妻の才川 白亜。結婚して1年目の新婚である。


「今日もお疲れ様。お風呂沸かしてるけど入るか?」

「ありがと。そうする」

コウは、在宅勤務のため、会社に行っている私に気を遣って家の家事を全部してくれている。たまに私も手伝うことはあるのだが、ほとんど任せっきりである。

「ゆっくり浸かるんだよー」

「うん。わかってる」

コウの言葉を聞きつつ、私はお風呂場に向かっていった。


「ふぃー。やっぱりお風呂最高ー」

入浴剤を入れて少し濁ったお風呂に浸かりながら私は1日の疲れをほぐしていく。ちなみに今入っている入浴剤も、コウが「疲労回復のために」と言って選んでくれたものだ。それもあってか、お風呂に入ればたいてい、疲れが抜けていく。コウには感謝だ。


(私、コウに尽くしてもらってばかりだよなぁ)

いくら無口な私といえど、そこは気にしているところでもある。コウ本人にいったところで「好きでやっているし気にしなくていいよ」とでもいうのだろうが、尽くしてもらってばかりというのも気が引ける。だからこそ何かしらの形で恩返しがしたいのだが、何も思いつかない。

(だめだ。ここで考えてたらのぼせてしまう)

そう思い、私はお風呂から上がることにした。


「コウ、お風呂ありがと。気持ちよかった」

肌の手入れや髪の手入れなどの諸々のことを済ませた後、リビングのソファに座っているコウに声をかける。

「それならよかった。もうご飯を食べるか?」

「ううん。ご飯はまだいいから、少しだけコウに甘えさせて」

「ん、わかったよ。どうぞ」

やっぱりコウは断らない。本当に嫌だったら断ってくれてもいいのに、コウは絶対に断らない。私も心の中でそれをわかっているから、「甘えさせて」なんてお願いをしてしまうのだ。


「ねぇ、コウ?」

「うん、どうしたの?」

コウの胸板に顔をうずめながら、私はコウに話しかける。なんか今なら、さっきまで考えていたことをコウに直接聞けそうな気がする。いや、きっと今しかない。

「コウはいつも私のためにいろいろなことをしてくれてる。でも私はコウに何もできてない。それは不平等だから嫌だ。私も何か、コウに恩返ししたい」

「ん~、恩返しか~」

私の言葉に少し考える仕草をするコウ。やっぱりコウは純粋な善意のみで尽くしてくれているみたいだ。


コウは少し考えた後、こう言った。

「じゃー、これからもずっと俺のそばにいてください」

「え?そんなことでいいの?」

コウの言葉に私は素っ頓狂な声を出す。てっきりもっと難しい要求をされると思っていたから拍子抜けだ。


「うん。今俺のいる場所に白亜が帰ってくるのが当たり前でしょ?その当たり前をこれからもずっと保っていけたらいいな」

「・・・ずるいよ」

そう呟いて、顔を上げるとすぐそばにはコウの顔がある。コウもこっちを見てにこっと微笑んでくれる。あぁ、やっぱり私は幸せだ。そう感じると同時に、私とコウの唇は自然と近づいて――――


――――チリリリリリ

「はっ!」

アラームの音で私は目を覚ます。視界の中に映るのはいつもと変わらない私の部屋の天井。

「なんだ、夢か」

あと少しで幸せの絶頂を迎えられそうだっただが、タイミング悪くアラームに邪魔をされてしまったようだ。

「結構幸せな夢だった。いつか現実でも同じようなことができたらいいな」

これからの未来に思いを馳せながら、私は学校の準備を始めたのだった。










━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

大急ぎで執筆した5人の幼馴染の想像するいい夫婦です。

いい夫婦の日を思い出したのが今日の学校の昼休みだったため、そこから慌てて執筆しています。なので文章が荒いかもしれませんが温かく見て頂けると嬉しいです。


いつも応援してくれている方、ありがとうございます!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る