第11話 胸を揉む。そして宇宙へ旅立つ。
「キスはいきなりするのに、胸は聞くんですね?」
アイオンは上目遣いで、唇を尖らせた。
は! そういえば俺キスしてたな?
乳首で舞い上がって全然冷静じゃなかったからどんな感触か思い出せない。
もっかいしていいかな? いや、今いきなりするのもおかしいか。
とにかく、その時は別にしても嫌そうじゃなかったから、というより、してほしそうに見えたんだ。だから、勝手にしてしまった。
やべー。思い出し唇やわらけー。
ってそうじゃない。これだから勘違い童貞は嫌だよ、舞い上がっちゃったよ、嫌われた!!もうおっぱい触らせてくれないかもしれない。
しかし、俺の予想とアイオンが続ける言葉と反応は、違っていた。
「どうぞ。好きな時に、好きなだけって約束ですから」
アイオンは目をそらし、顔を赤らめ、腕を曲げた。
犬がお腹を見せるように。信頼の証かのように。
神よ。
もはやこれは試練ではない。楽園への片道切符だ。
俺の鼻息はドーベルマンより荒く、両手は空気をワキワキと掴み、相棒はすでにK点をこえ世界新記録に挑戦していた。
「いいですか! エッチな触り方はダメですよ!」
ウィームッシュ!
アイオンからのオーダーだ、快く受け入れよう。
エッチじゃない触り方とエッチな触り方の違いが何かは皆目見当も付かないが、いつも触れた瞬間心が解き放たれてそんなモミモミ揉む余裕がない。
多分大丈夫だろう。
「なんでそんなゆっくり近づくんですか! も~!」
アイオンは俺の手をとり、自ら足早にエデンへと導いた。
「んんっ」
1961年4月12日。
旧ソ連の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンが、人類で初めて青空をこえ、宇宙へ飛び立った。
ボストーク宇宙船の小さな窓から、高度300kmで地球を見下ろす。
今となっては安全だが、当時は命がけの宇宙飛行だった。
その時彼は、視界いっぱいに広がる星の夜空に浮かぶ地球を見て
【地球は青かった】
といった。人類史上初めて、地球を見下ろす感動の中で、彼は目視した世界をありのままとらえ、そう言葉にした。
それは、けして語彙力を失ったわけではなく、もっとも適切な言葉が、それだったのだ。
【おっぱいは、やわらかい】
俺は今なら、ガガーリンの気持ちがよくわかるようになった。
命がけの戦闘を終え、心を開いてくれた彼女の乳は、人類が初めて宇宙から見下ろした地球と同等の感動をもたらした。
女神アイオンのおっぱいは、生きる理由に匹敵する。
俺は指先一本ずつに力を入れ、その弾力をゆっくりと楽しんだ。
「ちょ、ちょっと! その触り方は」
アイオンはより顔を赤らめた。
しかし、言葉とは裏腹に、行動は拒否を示さなかった。
それは約束だから嫌々差し出している、というより、まるで喜んでいるかのように見えた。
ズブズブと指が埋まっていく。なんだこの柔らかさは。柔軟剤100㍑は使ってる。
それでいて、ただ柔らかいだけではなく適度に弾いてくる。
俺は今首を跳ねられ死んでもかまわない。
「い~! はい、おしまいです!」
突然女神が体を横にずらした。
そのお預けは命に係わる。
「な、なぜだ!」
俺は抗議した。この前より短いご褒美タイムだ!!
「あ、あとちょっとでエッチでした!」
ん?
まてよ。それは、主観的なものなのか?
つまり、アイオンが俺に乳を揉まれたときに、自分がそれによって性欲を掻き立てられ、エッチだと判断したから、おしまいだと?
何それエッチ過ぎん?
俺は100㍑の鼻血を出し、文字通りぶっ倒れた。
〇
それからは、さっきまでの恐れが嘘のようにレッサーゴブリンを刈りまくった。
というか、必勝法がわかったのだ。
説明しよう。そこらへんにある石を拾って、投げる。
それだけだ。
百獣の王、武〇壮さんが、象と戦う時の戦法だ。
しかし俺には伝説級の装備のステータス補正がかかっている。どんな小さい小石でも、当たりさえすれば一撃だった。
朝起きてアイオンの手料理を楽しみ、小石を投げてレベルを上げて、昼寝して、また戦って、風呂入って、また手料理を楽しみ、寝る。
これを数日繰り返した。寝室が別なことが悔やまれる。
しかし、それだけで俺のステータスは爆発的に向上していた。
相沢守 level 34
体力 189
魔力 126
攻撃 110+621
防御 98+489
装備 聖鎧 女神の寵愛 rankMAX
聖大剣 エクスカリバー rankMAX
魔法 戦いの唄 小石召喚
特殊能力 勇者の器 女運+∞ 投石技能+5
おや?おやおやおや???
「アイオン! 魔法だ! 戦いの唄っていうのと、小石召喚だ」
いったいどんな効果なんだろう。
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